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カテゴリ:映画
馮小剛 フォン・シャオガン 監督
黄軒 ホァン・シュアン、苗苗 ミャオミャオ、 鐘楚曦 チョン・チューシー、ヤン・ツァイユー リー・シャオファン、ワン・ティエンチェン出演 『芳華―Youth―』 (以下、映画の核心に触れる部分もございます) もう少し期待していたが... 文工団にダンサーとし入団するも 農村出身の何小萍(苗苗)はいじめにも遭い 公演では衣装チームに。 雲南の高山では主役がケガをしたために 代役に指名されるが結局野戦病院に行く。 断ること、踊らないことが彼女の矜持でもあったが それが、純粋にバレエが好きでダンスが好きで 自分が好きなものそれらが愛国に取り込まれることへの反発、 反権力でもなく いじめられていて居場所のなさからの 文工団への反発としてしか描かれていない(伝わらない)よう (原作は未読だが...) ダンスと文工団が文脈でスイッチしているのが問題か。 名もなき文工団の若者がイデオロギーに揺さぶられ文革の終焉に翻弄されるさまは (時代はずれるが)『さらば、わが愛/覇王別姫』のショートバージョン、 文工団バージョンとして観ることも出来るが... 自分たちの(愛する)芸術、バレエやダンスが 国家や権力に侵食され翻弄されることへの葛藤、哀しみや怒りは 『覇王別姫』での京劇に比べると殆ど描かれていない。 この頃の中華人民共和国の事情はよく知らないが 共産圏の他の国、ソ連(旧ソ連→ロシア)やキューバはバレエ大国で 現在も引き続き優れたバレリーナも輩出しているようなので このようにバレエを「改良」はしていなかったのかもしれない。 文工団、国策に取り込まれたバレエダンサーたちの葛藤や バレエ(やダンス)が利用される哀しみも特に描写されず 文工団生活で夜遅く懸命にダンスに励むシーンはあるものの ダンスは彼女にとって本当に夢で目的なのか ただ家を出て誰にも見下されないための手段なのか 恋に揺さぶられてしまうものなのか、もやもやする。 (純粋な)バレエでもなく、 革命的あるいは文革プロパガンダ的ダンスが 何小萍の総てで、何小萍のアイデンティティとは言えず... そのあたりは浅薄で曖昧なままなので 文脈によりスイッチしすり替えられたダンスと文工団、視点のブレが説得力を減ずる。 後年精神的に不安定になった彼女が 突如舞台の音と動きに誘われ草の上で踊りだす。 踊り出したその動き・ダンスは、バレエではなく 文工団的文革ダンスであったとしても 身体性を伴う彼女のアイデンティティだったのかもしれない... (十分納得できるほど描かれてはいないが) と有耶無耶に思わされる。 少なくとも、傷ついた彼女の心を癒しているかのようだから。 しかし、ダンスによって癒されはするものの そのダンスによって傷ついたという、対比される描写はなく 文工団の仲間たちによる心ないいじめに傷ついていただけ。 ダンスのポジティブな意味と対照的、対比されるのは (ダンスのネガティブな意味ではなく)文工団のネガティブ性。 ダンスか文工団か、この二つが何度かすり替えられるため ダンスがアンビバレントな意味を持ち得ない。 ダンスに傷付けられ(実際は文工団の仲間に傷付けられた)、 ダンスに癒されるという葛藤と反転、対称をなす、の構図は 厳密には成立し得ない、仮構なのでカタルシスが薄めになってしまう。 時間に沿って流れる叙事詩的テレビドラマ感は 過去を懐かしむには十分だとしても。 それでも、当時を再現した映像には目を奪われた。 K-Pop ダンスを見慣れた目には、揃っていないダンスに吃驚したものの。 中越戦争については殆ど知らなかったが 中国映画ではどれほど描かれて来たのだろうか。 映画の中ではベトナムに対する「自衛的攻撃」だとキャプションが入り あくまで中国側の視点で中越戦争を伝えている点にも軽く吃驚した。 実際は、「ベトナムへの懲罰行為」と称した中国の軍事侵攻だったから。 もちろん、日本にも未だに侵略戦争・日中戦争~太平洋戦争 第二次世界大戦を 自衛戦争と嘯くネトウヨが多く、歴史修正主義には何ら相違もないが。 ベトナム戦争後で、この、これだけのベトナム軍の強さにも驚きをおぼえつつ... 戦地で劉峰役が時々緩んだ顔をしているように見えたのが残念... 見えない敵と戦うシーンをがっつり再現していただけに。 この、ベトナム兵が見えない、見えない敵という描写は 実は文工団閉鎖の首謀者・お上、権力という見えない敵、力の不可視性とも重なり 監督はどちらも不可視化することで 青春の痛みという綺麗事におさめておきたかったのかもしれない、と深読みもする。 鄧小平の支配下 こっそりテレサ・テン鄧麗君の歌を聴き、 「こんな歌い方もあるのか」と 歌唱法の差異に驚く文工団のメンバーたちの姿は 時代を端的に伝えてノスタルジック。 白天鄧小平 晩上鄧麗君 昼は老鄧(鄧小平)のいうことを聞き、 夜は小鄧(テレサ・テン)を聴くの通り。 戦争の補償を求めた 退役軍人による抗議デモが各地で起こっているとも聞くが そのような中国の現状で 中越戦争の隠れた、名もなきちいさな英雄たちに光を当てている。 クリント・イーストウッド監督の最近の作品(『ハドソン川の奇跡 Sully』や『15時17分、パリ行き The 15:17 to Paris』)、ハリウッド映画(も?)の傾向の一つとして 名もなき市井の「ヒーロー」に光を当てるスタイルで 中国もまたこのような映画を作るようになったのか、という感慨も。 一方、主演の杨采钰は2015年にも1980年代が舞台の映画 『1980年代的爱情』に主演している。 1970年~80年代を回顧するノスタルジー作品が求められている、という面もあるのかもしれない。 前述の退役軍人の世代が昔を懐かしむような... エンドクレジットを見ると Digital Idea など韓国の会社や技術者が多数 VFX や音響等にも携わっているようだった。 ポスターはとてもアイキャッチな色遣い。 あの頃は これほどまでに明るく鮮やかだったのか?そう思い出されるのか? to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2024 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 20, 2023 05:32:06 PM
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