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テーマ:韓国!(17199)
カテゴリ:映画
2014年のテレビドラマ・シリーズ
「バッドガイズ 나쁜 녀석들」のスピンオフ的映画。 あらすじ 刑務所から出発した護送車が襲撃され 犯罪者たちが市中に逃亡。 彼らを捕えるため、 「バッドガイズ」の特殊犯罪捜査課として オ・グタク(キム・サンジュン)班長は再び「나쁜 녀석들」を 招集することに。メンバーは、 元組織暴力団員パク・ウンチョル(マ・ドンソク)、 詐欺師カク・ノスン(キム・アジュン)、 警察学校首席だったが過失致死罪の元刑事 コ・ユソン(チャン・ギヨン)という「狂犬」たち。 「狂犬を解き放て!」 ソン・ヨンホ監督 『ザ・バッド・ガイズ 나쁜 녀석들:더 무비 THE BAD GUYS: REIGN OF CHAOS』(2019年) (以下、映画の核心に触れる部分もございます) 2016年公開の『スーサイド・スクワッド Suicide Squad』レビューでも 言及、記していたが、 悪を以て悪を制す構図、アンチヒーロー Antiheroの系譜は 同作中の第二次世界大戦中米海軍はマフィアと手を結んだというセリフ等にもある通り。 特に、減刑を条件に収監された犯罪者を放つ設定は共通もする。 最近の韓国ドラマでも、 ソン・ジュンギ主演「ヴィンチェンツォ 빈센조」は マフィアのコンシリエーレ Consigliereという「悪」を以て 社会に潜む巨悪を制す、という悪対悪、ダークヒーロー (悪の定義や程度にもグラデーションはあるが...)の構図で その系譜、系統は続いているよう。 悪対悪ゆえ、アクションや手段が過激にもなり、 ノワール的見どころが増える可能性はあるが両刃の剣でもある。 観る人によっては刺激的で爽快、 あるいは怖い、犯罪者をヒーロー化している、など評価は分かれそう。 『ザ・バッド・ガイズ』の場合 「悪」はそれぞれ、冤罪とまでは言わないまでも、 不可避不条理な事由による収監だった、という理不尽な思いをにじませる 設定に変え、ドラマの凶悪感、ノワール感は薄めた趣。 ウンチョルのように、気は優しくて力持ち、 義理堅いゆえ巻き込まれたケース、 容疑者の持病により死なれてしまった不運なケースと 巨悪に対峙する「悪」をドラマ版ほど悪辣には描いていない。 理不尽な「悪」のレッテルを貼られ もやもやした思いを抱えつつ「狂犬」として減刑をめざし奮闘、 そんなマイルドに「悪い」彼らには感情移入しやすくなっているかもしれない。 (ドラマ版は6,7年前に視たのでディテールはあまり憶えていないが) ノスンだけは「狂犬」感が全くなかったが、 情報と推理で逃亡犯の検挙を主導し、 女性や弱者を狙う暴力に断固と抗う姿は正義感あふれ 女性の共感を呼ぶスタイルで、なかなか魅力的だった。 映画版ではウンチョルのアクション・シークエンスで ドアを破るシーンが何回かあり、印象的だった。 刑務所でミシンの「直線縫い」に勤しむウンチョルは 実家がクリーニング屋という設定になっていた。 父のクリーニング屋で衣服の修繕も引き受けられるよう、 出所後の「セカンド・キャリア」設計に 真面目に取り組んでいるかのような真摯な思いもうかがえる。 ゆえに、ドアを打ち破り押し壊して前進していく姿は 「減刑」というご褒美の先、「減刑」だけではない、 その先のセカンドキャリアや人生への思いもにじんで ドラマ版とは違っていた。 主演した『無双の鉄拳 성난황소』のアクションは 原題の「怒った雄牛」の通り、 牛のように壁をぶち破る動き、描写が通底していたが、 その姿や描写とは明らかに意味付けが違う今回のドア破りのアクション。 減刑の先に開けるはずの、人生の次のステップへ向けた扉を一つずつ 開けて前へ進んでいくような趣も。 「狂犬」らしからぬそのステップに新派的要素がないとはいえないが ほんのりじんわり心に沁みるようだった。 韓国の秋夕(旧暦のお盆)映画だからか、 ドラマ版のノワール感よりは安心出来る着地点が用意されていた感触も。 但し、最後に不敵な笑みを浮かべたマ・ドンソクは 続編への布石なのかどうか。 ドラマ版と映画版の間の約6年の歳月の間には ドラマ「刑務所のルールブック 슬기로운 감빵생활」等も制作されていた。 同ドラマで心に残るセリフの一つが「ここも人が住む場所だ 여기도 다 사람 사는 곳이야」。 それは、映画『監獄の首領 프리즌』の、 「刑務所にも人が住んでいる」とはまた少し違うニュアンスで 収監されてしまった人全てが「悪」や「極悪」ではないのではないか、 と、先入観や偏見への疑問を投げかけ、 人への思いをにじませていた。 真の「極悪人」巨悪は逮捕されることもなく 刑務所の「外」にいる、という世界観は韓国の映画やドラマに 時々描かれてきているが、 そんな社会の不条理とも表裏一体となり はみ出し者たちの事情と道程、息づかいを伝えてもいるよう。 もちろん犯罪を肯定するわけではないが、 ドラマ版よりマイルドになった 「狂犬」的ダークヒーローの人生を垣間見せる描写を観てそう観取した。 「ヒロポン」関連の利権については 映画『麻薬王』等で描かれていた通り*、 前科、前歴ある日本の犯罪史に連なるような趣も。 もちろん戦前も、豊臣秀吉の時代も 大陸への足掛かりにしようと朝鮮半島を侵略し 蹂躙し利用しようとした歴史を想起もさせ、 反復される、ダ・カーポの歴史も示唆するかのよう。 しかし、一方でドラッグまわりは世界共通の問題で普遍的なテーマ、 欧米の作品にも何度も描かれてきている通り 薬物に汚染される社会的リスクを提示し同時代性がある。 余談だが、 IU 아이유の 「The Red Shoes(분홍신)」MVに出演し、 その後もIUと共演したドラマ「マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~ 나의 아저씨」で荒々しい役だったチャン・ギヨンは この映画でも狂犬のようなキレっぷりが 同ドラマでの演技とオーバーラップもする。 もうひとつ余談だが、 ジェシカことノスンを一目見ようと護送車の男たちが 窓に殺到するシーンは キム・アジュン主演『カンナさん大成功です! 미녀는 괴로워(美女はつらいの) 200 Pounds Beauty』の プールサイドのシーンなどへのオマージュでは。 3つ目の余談、 初代の特殊犯罪捜査課の狂犬たちの「功績」を プレイバックするアメコミ風シーンは 『シン・シティ Sin City』へのオマージュ。 『シン・シティ』はダークホース・コミックス Dark Horse Comicsだが、 『スーサイド・スクワッド Suicide Squad』は DC Comicsでアメコミの痕跡も。 * 1940年代、戦争中に日本は「軍需品」として 「ヒロポン」等アンフェタミン、メタンフェタミンを 「魔法のクスリ」として大いに活用していた。 理由はもちろん、労働力や戦力拡充のためである。 (参考:「戦争のために配布された覚醒剤」) to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用・ 盗用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、 リライト、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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Aug 4, 2024 12:30:01 AM
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