隠者の部屋

2009/08/29(土)12:02

追憶の厚岸キャンプ・二日目

旅・アウトドア(42)

寝苦しい夜だった。 夜9時くらいに目が覚めて、耳栓を外してみたが バンガローの歌は止んでいたが隣のテントの懐かしの80年代ヒット歌謡メドレーは続いていた。 再び耳栓をして眠ったが、その後も何度も目が覚めた。 身体は疲れているはずなのに、血管の中をアドレナリンが走り回っている感じで 落ち着いて眠れないのだった。 何度も寝たり起きたりを繰り返して午前三時になった。 眠るのは諦めて、日課の気功をやるためにテントの外に出る。 天気予報では今日は一日曇りだったはずだが、空には星が見えている。 「天気予報は外れたな、ラッキー♪」と喜んだのもつかの間 気功の途中から雲がやって来て一つも星が見えなくなってしまった。 風が強くて、こんなときは蚊がやってこないし、テントも乾いてとても有り難かったが この強い風が雲を運んできてあっという間に曇り空にしたのだな。 まだ真っ暗なのに、漁船のエンジンの音が聞こえてくる。 気功の後は小一時間ほど眠った。 次に目が覚めたのは午前5時くらいだった。 外に出て水場で顔を洗ってテントに戻ると、私の物音で目が覚めたのか 隣のテントから懐かしの80年代ヒット歌謡メドレーが聞こえてきたじゃないか! オイオイ、朝からそれかよ・・・(´Д`;;) そいつは三度屁をコイて7時前にはテントを撤収して去って行った"┐( -""-)┌ ヤレヤレ" ラジオで天気予報とニュースを聞いて、カロリーメイトと水だけの朝食を摂った。 昨日の考えでは、晩飯を買ったセイコマまで走って朝食を仕入れる予定だったが面倒になったのだ。 朝食後は寝不足なので少しでも眠ろうとしたがダメだった。 9時には撤収を開始した。 曇りのはずが、テントの撤収の一時だけ晴れ間が出て テントを干すことが出来たのはラッキーだった。 10時頃にはキャンプ場を後にした。 厚岸大橋に近づいたとき、同じ進行方向へ走っていく自転車が見えた。 厚岸大橋は山型の橋で真ん中が一番高くて その前後は坂になっているのだが、その自転車はノロノロと私の前の坂の歩道を走っている。 私が橋の中央近くで追いついたら、最初はマウンテンバイクと思っていたその自転車は いかにも金のかかっていそうなクロスバイクだったのだ。 それに乗っているのはオッサンで、レーシングウエアーにレーシングパンツに ヘルメットの完全武装状態の本格派。 そのオッサンは後ろに追いついている私に気づくと、何度かチラチラと後ろを振り返った後 おもむろにペダルの上に立ち上がりサドルから尻を浮かせると 改めてサドルに座り直して気合いを入れて後半の下りに入っていった。 「ついてこられるならついてきてみな!」って感じだ。 「やってやるぜ!オッサンとの年齢差のハンデはマシンの能力差と背中の荷物でチャラだ」 狭い厚岸大橋の歩道を猛スピードで疾走する二台の自転車  ←二人のバカw ギャラリーは橋に留まっていた二羽のカモメと道路工事のおじさんたち。 真っ直ぐな橋の歩道は見通しが効くから飛ばしたが、橋が終わって道路に出たら危険なので 私は減速してオッサンとの車間を取った。 橋が終わると急にオッサンは自転車を停めた。 私はそのまま厚岸駅へ向かった。 私は厚岸駅の近くにあるセイコマに入って野菜ジュースを買った。 レジで精算して店を出ようとすると、あのクロスバイクのオッサンが入れ替わりで入ってきた。 店の前に停めてある私の自転車の隣にオッサンのクロスバイクが停めてあった。 その自転車をよく見ると、キャンプ場のあのバンガローの近くに停めてあった自転車じゃないか!! つまりは、あのオッサンが昨夜「キミのーゆくー道は~」と歌っていた人物だったのだ!! 当初、私は買った野菜ジュースを店の前で立って飲むつもりだったが そんなことをしていたら、あのオッサンがやって来るじゃないか あの様なナルちゃん野郎に捕まったら最後、あんたが大将状態の自慢話のエンドレスに なるであろうことはこれまでの私の人生経験から推測される事態である。 その様な事態を避けるため、私はあえて店と隣の建物の間の奥へ隠れるように入って行って そこでコソコソと野菜ジュースを飲んだのだった。 野菜ジュースを飲み終えて店の前に戻るとオッサンのクロスバイクは消えていた。 ホッと胸を撫で下ろして自転車に乗って駅へ向かって右折すると あのオッサンが地べたに座ってなにかを飲み食いしていたのだ! 私はその横を目を合わせないようにして通り過ぎた。 そして無事に厚岸駅に到着したのだった。 これから初めての輪行である。 自転車を折りたたんで輪行袋に入れた。 輪行袋に入った自転車を担いで駅に入った。 ザック背負って自転車を担いだとき、腰がビキビキいったのはここだけの秘密。 12:24発釧路行き快速はなさきに乗るまでまだ一時間以上ある。 ボサーッとベンチに座って人間観察して過ごす。 昼間っから缶ビールを飲んでいる男性が多いのには驚いた。 でも十数年前に初めてこの駅に来たときに私は梅酒を飲んでいたんだったな、ここで。 列車の乗客は適度だった。 後ろのドアから入ってすぐに自転車の置き場所を確保できた。 あれだけ苦労して走った釧路厚岸間も列車だとすぐだった。 途中、何度かトンネルを通過したが、あの深山の山岳地帯なんだな。 午後1時5分、釧路に着いてから駅の前に出て端のポストの隣で自転車を組み立てた。 これで輪行初体験は無事完了したワケだ。 駅のキヨスクでyへのおみやげ共栄パンのピーナッツパンを買って 和商市場の邦紀へ行って塩ラーメンを食べた。 初めて食べたときと比べるとちょっとだけしょっぱかったけど ここのしょっぱさには嫌みが無くて完食できる。 和商を出るとポツリポツリと雨が落ちてきた。 今朝の天気予報では雨は夜遅くからと言ってたのに ほんと、最近の天気予報は当たらないなと思いつつ yの部屋へ向けてスピードを上げるのだった。                                   お終い

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