お雛さまの思い出
マムは屋根裏のダンボールをあけます。そこには無造作ですがとっても大切なマムのお雛様が入っています。1対はマムとともに東京にやってきもう1対はマムの娘のために購入されたもの。 それはマムが小学校の1年のことです。マムは毎日毎日「信用金庫からもらった打ち出の小槌の絵のついた貯金箱」に10円やら1円やら5円を貯めてその日を夢みたのでした♪マムはカール人形(横にすると目を閉じる金髪のお人形)が欲しくてしかたなかったのです。貯金箱をいっぱいにするのには随分の月日がかかりました。やっとこさ貯まって母と数えると3,000円近くありました。マムは母にカール人形を買うために貯めた大切なお金をたくしました。カール人形が売っているデパートはバスで小1時間要するのです。母が帰ってくるのを今か今かと待っていました。そのマムに母が持ち帰ってきたのはなんと、カール人形ではなくて、母が欲しかった“お雛さま”だったのです。あまりといえばあまりのお話。マムの母は平然と言ってぬけます。「これが欲しかったっちゃもん」。へっ、ですよね。これって横領じゃないですか。娘が一生懸命貯めたお金を・・・・・・。悲しくって悲しくってやりきれなくって、涙をぬぐった手でお雛様をさわってしまいました。 するとどうでしょう。お内裏様の眉と目がくずれてしまいました。それを見た母は烈火ののごとくマムをしかりマムはマムで烈火のように泣き出して収拾つかね修羅場・・・・・・。不条理ですよね。でも今ではとても大切な母との思い出です。そしてこのお雛様はマムのお宝のひとつとしてずっとマムのそばをはなれません。マムの大切な娘舞姫には、マムの故郷のお人形の古型博多人形師のお雛様を誂えました。といってもスポンサーは“好き勝手をした母”であることを明記! さて、お手洗いには、コーン豚と幸せの小鳥に休んでもらって霊験あらたかな金色のお雛様を。勿論、その下にはジャンボ宝くじが♪ウフフ 実は窓枠の下(舞台裏)はとっちらかっています