カテゴリ:失踪事件
ある日突然町から消えた青年が遺体となって帰ってくる。聞けばゲリラとなっていたため軍隊に殺害されたのだという……こんな事件が相次いでいる。日本ではない、南米コロンビアの話である。
「仕事で出かけるけど、夕ご飯とっておいて」 コロンビアの首都ボゴダに近い町、ソアチャに住むブランカ・ヌビア・モンロイさんの長男フリアンさん(当時19)がそう言って家を出たのは2008年3月のこと。それきり彼は姿を消す。貧しい家族のため大工見習いとして働いていた、真面目な働き者であった。 半年後、400キロ離れた町で彼が遺体で見つかったという噂が家族の耳に入る。遺体安置所に駆けつけた家族が目にしたのは紛れもない、フリアンさんの遺体であった。 「お前の息子はゲリラだって知っていたか?」 と父に告げる兵士。生れてから武器を持ったことも無いフリアンさんは、家を出た翌日、兵士19人によって殺害されていたのである。 事件の背景にあるとされるのはゲリラを殺害した兵士に与えられる報奨金の存在である。わざわざ危険に身をさらしてゲリラと戦うよりは、治安の低さを良いことに、手近な若者を殺害してゲリラに仕立てる方が手っ取り早い……という訳だ。 「ゲリラ」として殺害された若者は08年以降14人に上るが、サイズが合わない制服を着ていたり、左利きなのに右手に拳銃を持って死んでいたりと不審な点が多いのも同説の信ぴょう性を高めている。 コロンビアは2002年以降、現ウリベ政権の対ゲリラ強硬姿勢が功を奏して治安が回復しつつあるとされる。が、その一方で今度は軍による犯罪行為が多発しているのが現状である。 2010.7.23 朝日新聞 10面 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.07.26 22:35:03
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