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カテゴリ:短歌 時局、時節を詠む
故郷の 主無き屋(や)の
風鈴の音(ね)に 舞い落ちる 桜哀しや ☆ 桜の花が、あちこちで美しさを競い合う、そんな故郷の春。父母を訪ねた後、桜見物の散歩の途中に、今は空き家となった家に、季節外れの風鈴がチリーン、ちりーんとなっておりました。 ☆ そして、その家に大かぶさるように伸びた桜からは、ハラハラと散る花びらが、うっすらと屋根の上に積もっていました。 ☆ 愛でてくれる主はいなくなっても、その時期が来れば咲き続ける桜…。菅原道真の「東風(こち)吹かば にほひをこせよ 梅の花、主(あるじ)なしとて春な忘れそ」の情景です。 ☆ しかし、梅と桜の違いはあまりに大きく、捨て置かれている廃屋に、ほんのひとときを咲く桜。ひときわの哀しさ、寂しさを感じたものです。 ☆ そういえば、その家にかつて住んでいた人は、どんな顔をした人たちだったのか、今は思い出すこともできません。
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Last updated
2019.03.28 19:13:45
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