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2006年11月05日
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カテゴリ:能・狂言
 金曜日に国立能楽堂に「~舞金剛の花~天地人之会」を観に参りました。
 演目は、能「杜若(かきつばた)」、狂言「樋(ひ)の酒」、能「望月」。
 能「杜若  日陰之糸・増減拍子」。杜若の名所の三河の国の八橋に立ち寄った旅僧(ワキ・安田登)が、よしありげな女(シテ・金剛永謹)に話しかけられ、庵室に導かれた一夜に見る、「伊勢物語」の詩的幻想の世界。女は杜若の精で「伊勢物語」の主人公とされる在原業平の冠に太刀を佩き、恋の相手、二条皇后の藤原高子の御衣もまとい、舞います。本当に美しい舞いでした
小書きにある日陰之糸は、初冠に梅の心葉を挿し、数段に編んだ紅色の絹紐(日陰之糸)を垂らし、これは古代新嘗祭などの神事にも使われたいたそうで、これがいっそう舞いの美しさをひきたてていたのかもしれません。
増減拍子は、陽の句に陰の拍子、陰の句に陽の拍子を踏むことだそうで、陰陽道に言う陰陽の調和を表すものだそうです。在原業平は、陰陽の神の化身とも言われ、陰陽とは男女の結びつき、仲を取り持つ神だとか。なるほど、さすがに、プレイボーイといわれた業平です。

狂言「樋の酒」。樋とは竹を半分に割った雨どいのこと。これをどのように使うのか。外出する主人(竹山悠樹)が、太郎冠者(野村万作)、次郎冠者(石田幸雄)にそれぞれ米蔵、酒蔵の番を言いつけます。さっそく酒蔵の酒を飲み始める次郎冠者を太郎冠者は羨ましがります。ここで、思わず、留守番って、酒を飲むこと?と言いたくなりますが~。次郎冠者は樋を窓越しに太郎冠者のいる米蔵に差し渡し、酒を注ぐと太郎冠者は喜んでのみます。が、そのうち、あきたらなくなり、米蔵を放り出して、酒蔵に行って酒盛りを始めてしまいます。2人が舞い上がっていると、そこに主人が戻ってきます。酔って謡を謡いながら、舞いを舞う。お定まりの展開ではありますが、相変らず、太郎冠者の万作さんの舞いは美しく、見事でした。

 能「望月」。主君を討たれた遺臣・小沢刑部(シテ・工藤寛)が、遺児・花若と未亡人を助けて敵討ちする事件を描いた劇的な作品です。刑部が営む宿屋に、亡き主人の遺児と未亡人、供(アイ・野村萬斎)を連れた敵の本人・望月秋長(ワキ・村山弘)が偶然にも泊まり合せ、刑部と花若、未亡人の3人が敵討ちの計略をたてます。未亡人が盲御前となって曽我物語の一部を聞かせ、花若は鞨鼓を舞い、そして刑部が勇壮な獅子の舞いを見せます。このような芸尽くしのもてなしを受け、油断したところを討たれてしまいます。芸を見せながら、緊迫した仇討ちのシーンに展開していくところがとても面白い能です。
 しかし、仇討ちの当事者同士が同じ宿に…ちょっとできすぎた展開。しかも数多くあった宿の中からこの宿を選んだのは供の者(野村萬斎)。しかも、この宿は主人のもてなしもよく、良い宿を選んだと自慢している~。と言いながら、主人が殺される前にさっさとひっこんでしまう。“あ~、この後、主人が敵討ちをされてしまうのに行っちゃうの~”と思わず、突っ込みを入れたくなります。別に萬斎さんのせいではなく、役目を終えたアイは、さっさと引っ込むのですが。でも、もうちょっといてほしかったりして。中正面の最前列で十分にお顔は見れたのですが。

 さて、この日はもうひとつ楽しみにしていたことがありました。このネットで知り合いになったZAGZAGさんにお会いすることになっていたからです。私が座っていたお席まで、わざわざ来てくださいました。が、お顔を見て“あっ、やっぱり”と思いました。
 見所に入る前に、廊下でお見かけした男性がいて、“もしや”と思ったのです。ZAGZAGさんは、以前、能のお稽古をなされたこともあったと伺っていたのですが、私が目に留めた男性は、とても背中がすっきりした方で(ダンサーの目から見ても普通にこれだけすっきりしている方は滅多におりません)、もしやこの方ではと思ったのです。ドンぴしゃりでした。本当にスッキリとした方でした。
 お会いできて、うれしかったです。また私が、風邪でガラガラ声でしたので、ハチミツのアメをくださいました。萬斎さんの舞台を見ながら、なめさせていただきました。甘くておいしかったです。お蔭様で、少し声がでるようになりました。

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最終更新日  2006年11月05日 17時06分02秒
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