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2007年08月24日
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カテゴリ:能・狂言

  昨日は、宝生能楽堂に「第39回野村狂言座」を観に参りました。
  昨日の演目は、「水掛聟(みずかけむこ)」、「盆山(ぼんさん)」、「膏薬煉(こうやくねり)」、「薬水(やくすい)」。
 
  狂言「水掛聟(みずかけむこ)」。聟(高野和憲)が自分の田の見回りに行くと、水がなくなっています。隣の舅(石田幸雄)の田には水があるので、聟は畦を切って自分の田に水を引き、別の田を見回るためにその場を去ります。次に舅が見回りに来て、自分の田から聟の田に水がすべて取られてしまったことに気付き、畦を切って水を取り返します。そこに戻ってきた聟との間に、水をめぐる大ゲンカが始まり、妻(竹山悠樹)が仲裁に入りますが、結局聟の味方をして、2人で帰っていきます。
  昔は、田に水を引くことは大問題だったことでしょうが、水や泥を掛け合ってけんかするところが、無邪気で楽しい作品です。

  「盆山(ぼんさん)」。ある男(野村遼太)が、世間で流行する盆山を盗もうと、たくさんの盆山を持っている人(野村万之介)の家に忍び込みます。物色している最中に家の主に見つかり、盆山の陰に姿を隠したつもりの男でしたが、正体はばれていました。主は、「犬だ」「猿だ」だと言ってなぶりますが、男は、そのつど、必死になって物真似をしてその場をしのごうとします。
  これは、なんと言っても、狂言の基本的所作がきちんと含まれた小品です。犬の鳴き声、猿の泣き声、物真似、そして、ノコギリで生垣を切る動作。昨日、演じた遼太君(萬斎さんの甥)は、16歳。今回の「盆山」は、前半は一人で演じるのですが、「上手になったなあ」と思いました。声もよく出ているし、ノコギリで生垣を切る動作でも、ノコギリに見立てた扇の角度もきれいに決まり、美しい所作でした。後見についた石田淡朗君(石田幸雄さんの息子)とともに、これからが楽しみです。
    
 「膏薬煉(こうやくねり)」。名人を自認する鎌倉の膏薬煉(野村萬斎)と上方の膏薬煉(野村万作)が、膏薬の扱い比べをしようと相手の国を目指して旅に出ます。その途中で行き会った2人は、まずは自分の膏薬の系図を自慢し合います。遠くに走り去った馬を膏薬で吸い寄せたとか、大きな庭石を膏薬で吸い寄せて運んだとか。次に薬種を比べ合います。海に生える竹の子、雷のまつげ、空を飛ぶ亀、雪の黒焼きなど...。そして、最後は膏薬の吸い比べとなります。  
  前半は語り、後半は動きの面白さが見どころ。それぞれが客席を見て、離れた位置にいるのに、立ち上がり、くるりと回転して、歩きはじめるタイミングまでが一緒。さすがに親子、息がピッタリでした。  

  「薬水(やくすい)」。美濃国本巣の老人(野村萬斎)が、仲間の老人たちを集め、山奥に不老不死の泉があることを語ります。老人は、このめでたい泉の水を飲み、若返ろうではないかと提案します。一同は、水の湧き出る養老の滝に着き、まず一杯目を汲んで飲むと、髭が黒くなり、二杯目で髪が黒くなり、三杯目で曲がった腰が伸びます。 
  シンプルな能舞台で、容貌が変わっていくさまは、単純で笑えます。萬斎さんのおじいさんぶりは、なかなか見事でしたが、老人役なので、頭には頭巾、顔には面、そして、長い髭という最悪パターンで、お顔が見えない怒ってる。 最後に若返ったところで、狂言「浦島」のようにお面を外してくださればよかったのに…しょんぼり 。         






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最終更新日  2007年08月25日 00時03分54秒
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