昨日、文京シビックホールに「新春名作狂言の会ー野村万作 人間国宝認定記念ー」を観に参りました。
文京シビックホールは初めて行きましたが、設備の整った立派なホールでした。
6時半の開場を待って入場し、ロビーを歩いていると、後から、私の名を呼ぶ男性の声が~。こんなところで、追っかけ仲間さん以外に知り合いはいないはずだけど…。
と思ったら、なんとZAGZAGさんでした。お久しぶりです。久しぶりにお会いできてうれしかったです。お声をかけてくださってありがとうございました。お帰りにも一度、ご挨拶したかったのですが、お会いできず、残念でした。
昨日の私の席は、昨秋、始発電車に乗ってゲットした最前列。しかも、かなりセンター。座ってみると、~やったあ、この位置だと、萬斎さんの名乗りは私のまん前~。
しかし、舞台に近すぎて、ちょっと見上げるようなお席でした。
昨日の演目は、まず、茂山茂さんと野村萬斎さんの解説。そして、茂山家の狂言「貰聟」、野村家の狂言「六地蔵」。
舞台に登場した萬斎さんにしょっぱなに、ギロッと見られてしまった…。
「貰聟」。しこたま呑んで帰宅した夫(茂山千五郎)は、酔った勢いで妻(茂山茂)を追い出してしまいます。実家の父(茂山千作)は、子供を残して帰ってきた娘に戻るように説得しますが、度々の酒乱に愛想を尽かした娘の決意は固く、不憫になった父は、娘を奥で休ませます。翌朝、酔いが醒めて後悔した夫は、舅の家を訪ね、妻を返して欲しいと頼みますが、舅は娘は来ていないと突っぱねます。隠れて聞いていた妻は、子供が母を恋しがる様子を聞いてたまらず、姿を表わししまします。結局、元のさやに収まり、夫婦仲良く帰っていきます。
大蔵流の「貰聟」は初めてみましたが、和泉流より、人間的ドラマ性が強いような気がしました。
千作さんの狂言は、狂言を超越した独特の世界感があります。最後の夫婦2人が和解し、1人取り残され、怒りながらもほっとした、「まあ、いいわ」と言った時に思わず、涙がこぼれてしまいました。
素晴らしい演技でしたが、昨年、骨折されたのがまだ全快されてないようで、立ち上がる時に、後見の介添えを必要としていたことは心配です。
「六地蔵」。新しい地蔵堂に安置する六体の地蔵を求めて、田舎者(野村萬斎)が都に出てきます。それを見つけた都のすっぱ(詐欺師・野村万作)は仏師として近づき、一昼夜で六地蔵を作ってやると請合って、3人の仲間を地蔵に扮装させます。田舎者に約束に時間に3体の地蔵を見せ、残りの3体は別の場所に安置してあると、3人を移動させまた扮装させます。田舎者は何度もそれぞれを見比べたいというので、移動を続けているうちにとうとう鉢合わせしてばれてしまいます。
万作さんが、すっぱで、萬斎さんが田舎者という珍しい組み合わせ。萬斎さんがすっぱ以外の役をやられるのは初めて見ました。いつもは、田舎者は脇役というイメージはあるので、早くすっぱの萬斎さんが出てこないかなあとつい流して見ている~すいません~、が昨日は、じっくり見ましたが、萬斎さんの田舎者の演技は、さすがにとてもメリハリがあります。
萬斎さんのすっぱは、どことなく、胡散臭さがあり、いかにも詐欺師らしいのですが、万作さんのすっぱには、全くその雰囲気がない。これが本当の詐欺師だとしたら、真面目で誠実そうに見える万作さんの詐欺師には、コロッと騙されるかもしれません。
演者が変わると、本当にお芝居そのもの雰囲気もガラッとかわります。それが狂言のおもしろいところです。
昨日は、本当に、舞台に近いよいお席で、萬斎さんをたっぷり拝見できました。