昨日は、国立能楽堂に、「狂言ござる乃座 39th」を観にまいりました。
昨日の演目は、狂言「内沙汰」・「因幡堂」、素囃子「男舞」、狂言「塗師平六」。
素囃子「男舞」。素囃子は、能の囃子の演奏で舞う舞踊部分を、囃子の演奏のみで披露する奏演形式のことです。「男舞」は、現実に生きている武士などが勇壮に舞う舞いだそうで、強いリズムの曲でした
なんだか、チャチャチャが踊れそうな気が…。ちょっと無理があるかも~と思いながら、振り付けして頭の中でダンスをしていたら、アッという間に終わってしまいました。
狂言「塗師平六」。仕事にあぶれた都の塗師(野村万作)が弟子の平六(野村萬斎)を頼って越前に下ります。訪ねてきた師匠の応対をした平六の妻(高野和憲)は、細工の上手な師匠に滞在されては細工の下手な平六の商売の邪魔になると考えて、平六は昨年秋に死んだと嘘をつきます。すると、そこに何も知らない能天気な平六が出てきて、師匠の顔を見てうれしそうに駆け寄ろうとします。妻は慌てて押しとどめて幽霊になるように説得します。そして、師匠には平六の菩提を頼み持仏堂に案内します。師匠と妻が念仏を唱えているところに幽霊に化けた平六が現れます。
この後半部は、平六が師匠の謡いに合わせて舞う舞狂言(夢幻能の形式に準じた狂言)ふうになっています。
この妻は、現実主義者でありながら、けなげでもあります。平六が、決して腕の良い職人ではなく、この越前近辺に塗師がいないので、繁盛しているという現実をしっかりと把握しています。平六も、自分の言うことを聞かなければ、別れるという妻の言葉に、師匠より、連れ添った妻が大事と、言うことを聞きます。なかなかの夫婦愛。現実にもありそうな夫婦像かもしれません。
今年1月のNHKの番宣の番組の中で、桂小五郎役の石原良純さんが、撮影中に萬斎さんが左足の親指の生爪をはがしたと言っていました。
狂言の舞台では、常に足袋を履いてらっしゃるのでわからず、「鞍馬天狗」の時は、倉田典膳も、鞍馬天狗も素足なので、注意して見ていたのですが、テレビ画面ではわからず。 ということで、とても心配しておりました。
「狂言ござる乃座」のプログラムに毎回載る萬斎さんのコメント「萬斎でござる」の中に今回このことについて書かれていました。
爪をはがしたのは、昨年の「狂言ござる乃座」の公演直前とのこと。はがした当座は、ろくろく歩けず、さすがの萬斎さんも青くなられたとか。
包帯を巻いたまま履けるように工夫した足袋を急遽用意して公演に臨まれたとか。
前回は、「鳴子」のような激しい足拍子の舞いがある出し物。床を打つたびに激痛が走っていたのではないでしょうか。
その後、新年には、「三番叟」も舞われているし、前回の「野村狂言座」では、「欄干越え」もなさっているし…。
う~~む。さすが、プロ。全然気が付きませんでした。
今回のプログラムに、前公演の「鳴子」のお写真が。そういえば、持ち上げた左足の足元が心持膨らんでいるようにも見えますが。
現在は、通常の三分の一程生えた状態にまで回復なさっているそうですが。