昨日は、国立能楽堂に「国立能楽堂企画公演『素の魅力』」を観に参りました。
昨日の演目は、舞囃子「養老・水波之伝」、小舞「海人」、狂言語「枕物狂」、小舞「通円」、素謡「檜垣」。
舞囃子・観世流「養老・水波之伝」。梅若玄祥。勅使が美濃の山奥で木こりの親子に出会い、養老の滝に案内されます。霊水の徳をたたえ、感激した勅使が帰路しようとすると、養老の山神が登場し、神も仏も名は変わっても、水と波のような形の違いで、もとより神仏は一体であり、衆生を救うための手段であると語り舞います。
小舞・和泉流「海人(あま)」。野村万作。房前大臣の父、淡海公は、唐から興福寺へ贈られた三つの宝のうち、面向不背の玉だけが竜宮に奪われたので、身をやつして讃岐の国志度の浦に下り、海人と契りを交わして一子をもうけます。海人は、この子を世継と思う心から、淡海公の願いを聞いて海底深く潜り、竜宮へ行き、自らの乳の下をかき切って玉を押し込め、命を捨てて玉を取り返します。その功によって海人の子は、世継・房前大臣になります。
万作さんの舞いは、本当に切れあります。そして、引き込む力が強い。あの年齢まで、あんな風に踊れたらいいな~と思います。
地謡に萬斎さんが。キャッ!う~~ん、でも?お髭の剃り方がいつもと違う?
…ではなくて、日焼けなさっていたんですね。そういえば、舞台は昨日まで夏休み。今年も、どこか南国のリゾートにいらしたのかな?
狂言語「枕物狂」。茂山千作。百歳にもなる祖父が恋をしているとの噂を聞き、孫たちが様子を見に行くと、心ここにあらずといった態で祖父が出てきます。孫たちに尋ねられ、恋などは若者のすることだと否定しますが、志賀寺の上人や柿本の紀僧正の恋の話をするうちに、本望と遂げたいと思わず本心が出てしまいます。
さすがに千作さん。お声の張りはすごい!
小舞・和泉流「通円」。野村萬斎。宇治橋の供養の折り、参詣の修行者が三百人も押し寄せたので、宇治橋の袂の茶屋の主の通円は全員に茶を飲まそうと大奮闘しますが、ついに頼みの茶碗、柄杓も打ち割れたので、これまでと思い、平等院の縁の下に団扇を敷き、辞世の句を詠んで死んでの霊が現れ、地獄の苦しみを訴えます。この女は美女の誉れ高い白拍子だったのですが、その業ゆえに老残の姿をさらしていき続け、今もなお釣瓶に因果の水を汲むありさまを見せると、舞をみせ、成仏を願います。
やっぱり、萬斎さんの舞いはステキ!切れがあるし、シャープだし、かっこいいし。いつもより、ちょっと、色黒の萬斎さんもステキかも~。