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カテゴリ:能・狂言
金曜日に、国立能楽堂に、「万作を観る会」を観に参りました。
この日の番組は、連吟「御田」、狂言「附子」・「月見座頭」、新作狂言「食道楽」。 連吟「御田」。内藤連、竹山悠樹、高野和憲、深田博冶、岡聡史。 「御田」は、神の田という意味。賀茂神社の神主と田植えをする早乙女たちとの掛け合いで田植えの神事歌を謡います。 メインで謡われた内藤連さんは、国立能楽堂能楽三役研修の第八期生。初舞台の時から拝見しましたが、とてもよいお声だと思っていました。今回は、さらに研鑽され、見事な謡いぶりでした。 狂言「附子」。主人(石田幸雄)が大事な砂糖を太郎冠者(野村遼太)、次郎冠者(中村修一)に食わせないために附子という猛毒だと偽って外出します。ところが二人は主人の留守の間にちゃっかり食べてしまいます。そして、その言い訳に相撲をしていて主人の秘蔵の掛け物と茶碗を割ってしまったので、死んでお詫びしようと附子を食べたと主人に報告するのです。 狂言らしい無茶ぶり。今回は、若手イケメンの二人、野村遼太さんと、中村修一さん。そこをベテランの石田さんが締めて。若手の活躍も楽しみです。 狂言「月見座頭」。下京に住む座頭(野村万作)が中秋の名月の夜に野辺に出て虫の音を聞いていると、上京の男(野村萬斎)がやってきてともに月見を楽しもうということになりました。二人は酒を酌み交わし、和歌を詠み、謡い、舞って秋の夜の風雅に満ち足りたひと時を過ごします。そして、名残を惜しみながら、別れた二人でしたが、帰り際、なぜか、上京の男の心が豹変し、座頭を乱暴をふるい去っていきます。 万作さんのお得意の曲。座頭のつく杖の音がしみじみと聴こえます。そして、上京の男もやはり萬斎さんの役。謡い舞いががたっぷり。ラストの豹変ぶりも、やはり萬斎さん?!いつも以上に味わい深かったような気がしました。 北大路魯山人著、「春夏秋冬料理王国」所収、狂言「食道楽」より。 美食家の大名(野村万作)が出て来て、百歳になるが美食ゆえに老いてますます盛ん、と元気いっぱいに名乗ります。そして食後、思わず眠りに付くと、妙なものたちが現れます。大名の身体から離脱した目(石田幸雄)、鼻(深田博冶)、口(中村修一)、耳(高野和憲)、胃(月崎晴夫)、手(岡聡史)、心(野村萬斎)。そしてかれらの食の座談会が始まります。口は口があるから食べられると言い、目は目で見て食べると言い、鼻は鼻でニオイを嗅ぐいい、耳は耳で、手は手でと、デスカッションは続きます。みんなでさかんに自己主張。そしてケンカに。 身体のそれぞれのパーツを模したオブジェをそれぞれが持つのですが、これがなかなかよくできていました。 新作狂言ということで、ちょっとバタバタ感があったように思いましたが、これから錬られていくのでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年12月01日 01時04分36秒
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