金曜日に、シアタートラムに「マクベス」を観に参りました。
今回は再々演。
スコットランドの将軍マクベス(野村萬斎)とバンクォーは、ノルウェー軍を討伐し、ダンカン王陣営への帰路、三人の魔女から予言を受けます。
マクベスは、コードーの領主、ついで、スコットランド王となり、バンクォーの子孫が王になるという予言。
その直後、王よりの使者が、マクベスがコードーの領主に格上げされたことを伝え、魔女の予言が現実味を帯び、マクベスは、王位への野望を抱き始めるのです。
夫からの手紙により、魔女の予言と論功行賞を知らされたマクベス夫人(秋山菜津子)は、ともすれば気弱になる夫をそそのかし、力ずくで王位を手に入れさせよう考えます。この辺、秋山さんにはピッタリの雰囲気。
王がマクベスの城に泊まるという伝令が入り、夫人は時が来たことを覚悟します。
王に先立って城に戻ったマクベスも、すでに暗殺の決意を固めていました。
深夜、暗殺実行のその時、マクベスは短剣の幻を見る。その幻に導かれるようにして王の寝室に向かい王の暗殺に成功するのですが、良心の呵責に苛まれ、「マクベスは眠りを殺した」という声が聞こえてくるのです。
夫人は気丈にも、王を刺し殺した短剣を、眠りこけている見張りの兵士に握らせ、血糊まみれになった自分の手を見ても、水で洗えばすぐ落ちると、気にもとめない。女性は強い!
王を起こしにやってきたマクダフは、惨事を目に。
素知らぬ顔で起きてきたマクベスは、王の変事の報を受け、見張りの兵を謀反人としてその場で殺すが、王のふたりの息子は危険を察知し、イングランドとアイルランドへと逃げのびるのです。
こうしてマクベスは首尾よく王位を手に入れるのですが、子を持たないマクベスは、このままでは予言どおり、バンクォーの子孫に王位を奪われることになると、気がかりでならないのです。
そこでとうとう父子に刺客を向け、バンクォーの殺害は果たすのですが、息子は取り逃がしてしまう。
同じ日の夜、王就任の祝宴の席で、マクベスだけが、いるはずのないバンクォーのすがたを見て、取り乱す。
良心の呵責に責められているマクベスにだけ見える亡霊なのですね。
不安から逃れたい一心で、マクベスは魔女の洞窟をおとずれ、自分の将来を予言してもらう。
そこで耳にするのは、マクダフに気をつけろ、マクベスは女から生まれた者には決して負けない、バーナムの森が動かぬかぎりマクベスは滅びない、という予言でした。
マクベスの居城では、気丈だったマクベス夫人が、毎夜、眠りながら歩き回り、まだ手から血のにおいが消えない、血のしみが消えないと。
毎回、この秋山さん演じるマクベス夫人の精神が病んでいく芝居はすごいなと思います。
戦いがはじまると、マクベス側の領主たちは次々に離反してゆき、魔女の予言を信じるマクベスは虚勢を張りつづけるが、マルカム軍が兵力を隠すために身に付けた木の枝をバーナムの森と勘違いし、森が動いたからはこれまでと、死の覚悟を決めて戦うのです。
この舞いのような戦闘シーンは、ホント、かっこいいです。^^
最後、マクダフとの一騎打ちで、マクダフが「女」から生まれたのではなく、月足らずで腹を裂いて生まれたと聞かされ、はじめて魔女のことばにまどわされてきた自分に気づくのです。
2010年に、膨大なストーリーと多くの出演者を凝縮し、シンプルな舞台構成と、たった5人の役者~というスタイルで始まった舞台でしたが、 2013年に続き再々演の今回は前回にも増し、さらにシンプルな構成なっていました。
その分、マクベスの苦悩~いつのまにか抱いてしまった欲望に押しつぶされていく心というようなものかな~がよくあらわされていたように思います。
そして、前回公演から大きく変更された舞台構成。
能舞台の大きさに敷かれた布の上での舞台。
それが、背景にもなり、最後は雪の絨毯となって、マクベスの墓になる。
海外公演を考えての構成ではあるのでしょうが、伝統芸能の「和」の感覚を取り入れた演出は、ホントにすごいなあと思います。
前回公演時のメッセージです。
頑張れ!ニッポン!コロンビア戦!