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カテゴリ:能・狂言
月曜日(8月15日)に、寒川神社に「第53回 相模薪能」を観に参りました。 コロナ禍で2020年は開催中止、昨年は台風の影響で当日中止になりましたので、今年は、3年ぶりの開催です。 今年は天候にも恵まれ、よい薪能になりました。 今年の番組は、能「箙」、狂言「墨塗」、能「巻絹」。 能「箙」。 旅の僧(ワキ-則久英志)は、摂津の国の生田川で梅を眺める男(シテ・観世喜正)と出会い、源平の合戦の折、梶原景季(シテ・観世喜正)が、この梅を箙に差して戦った話を聞きます。 男は、合戦の様を語る内に、景季の幽霊であると明かします。 一ノ谷合戦での雄姿を見せ、僧に自分の供養を頼むと姿を消します。 「箙」の主人公の梶原景季は、現在NHKの大河ドラマ「鎌倉殿13人」で中村獅童さんが演じた梶原景時の嫡子。 父の梶原景時とともに、一ノ谷の合戦では、勇猛に戦いました。 梶原景時は、石橋山の合戦で、大敗して敗走して洞窟の中に隠れ潜んでいた源頼朝を見逃して命を救い、後に家臣となって頼朝から厚い信頼を得た武士。 この寒川神社のある寒川町には、梶原氏の館址、そして「箙の梅」があるそうです。 館の広さは、南北に500m、東西に300m、まさに東京ドーム約2個分に相当する広大なものだったそうです。 観世喜正さんが舞った合戦の舞いは、勇猛ですてきでした。 狂言「墨塗」。 訴訟のため、永らく都に滞在していた田舎大名(野村萬斎)は、訴訟も無事に済み、近々帰郷することになりました。 そこで、在京中に親しくなった女(中村修一)のもとへ、太郎冠者(内藤連)を伴って、別れの挨拶に立ち寄ることに。 暇乞いの事実を知らされた女は、別れを惜しんで泣き始めます。 大げさに泣き始める女ですが、実は、茶碗の水を目につけて、涙を流すふりをしていたのでした。 それに気づいた太郎冠者は、こっそり、茶碗の水を墨の入った水に取り替えてしまいます。 墨を塗つた女の顔は、真っ黒に…。 久しぶりに観た「墨塗」でした。 面白かったですが…。 この狂言、最後は、大名も墨を塗られてしまうんですね。 萬斎さんお顔も墨に…。 能「巻絹」。 勅命によって熊野本宮へ絹を運んでいた都の男(シテツレ・中森健之介)、本宮に到着後、境内に祀られていた音無天神へ参詣し、和歌を神に捧げます。 その後、彼は絹を届けに向かうのですが、納める期日はとうに過ぎていました。 勅使(ワキ・殿田謙吉)が懲罰として男を縛り上げると、巫女(シテ・中森貫太)が現れ、神が男の歌を受納したのだからと、その男を放すように言います。 神託を疑う勅使に対して、巫女は男に歌の上の句を詠ませた上で、自らその下の句を言い当て、神託の正しさを証明して男を釈放します。 巫女は、口に出さずとも心に念じれば、神はそれを受納すると述べると、神仏の道を体現する和歌の徳を讃えて舞います。 やがて巫女は神の帰還を願うべく神楽を奉納しますが、熊野の神々が次々と巫女に憑依し、再び神懸かりとなって激しく舞います。 面をつけて舞う姿は、本当に女性の巫女に見えてしまうのがすごいなあと、いつも思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年08月24日 22時11分41秒
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