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映画ドラマ・千一夜

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February 21, 2015
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カテゴリ:アニメ・人形劇
評点 ★★★★ 絵が良い。有名なお話の映像化のため、ストーリーの新規性を望むのは難しいけれど・・・。

[DVD] かぐや姫の物語
●2013年度 日本アニメ 監督:高畑勲 出演:朝倉あき 高良健吾 地井武男 宮本信子
●あらすじ
 竹の中から生まれ、すぐに成長して美しい娘に成長したかぐや姫。沢山の求婚者が表れても、次々と難題を出して結婚をせず、満月の夜に月へ去ってしまう。彼女は何故、この世(地球)にやってきて、月に帰ってしまう事になったののだろう?
●感想
 今まで、竹取物語は「物語」として一般伝承のものかと思っていたのですが、もう少ししっかり知っておくべき、と思って、Wikipediaを参照してみたところ、色々なことが分りました。
 無論、原題は『竹取物語』ですが、日本最古の物語と伝えられており、遅くとも平安時代初期の10世紀半ばまでには成立したとされ、かな(元は漢文)によって書かれた最初期の物語の一つである、そうです。
●今まで私が思っていた一番の疑問は、かぐや姫が求婚者に出す宿題の宝物が、普通には考えられない種類の宝物で、あれをどうやって思いついたのか?ということ。大変な知識階級の人でもなければ、知りえないような種類の宝物ではないかと思います。それと、有力者として名前が出てくる大納言などの正確な位階の知識はどうして知り得たか? 一般伝承のままでは、そこまで正確な記録が残らないでしょう。また、最後は帝が登場しても、遂にはそれに応じることのなかった「気高い」姫様、月に去る形で終焉を迎えるのですが・・・、ではなぜ、帝に嫁がないストーリーになったのか?
 Wikipediaには、作者の候補も挙げられており、結果、その当時は藤原氏全盛の時代で、それに対する批判が込められていた、という辺りの記述には驚きました。
●ともあれ、この物語は、お話としては完結性が高く、ジブリがどう描くのかには興味が高かったのですが、カグヤには子供の頃に一緒に遊んだ少年に思慕の気持ちがあり・・・、という辺りの解釈は、割と一般的な形のものに帰結したかな? という感じです。それでは少し、物語本来のものが持つ趣旨とは違うのでは? というのが、私の感想でした。
 物語では、翁が、「変化の者(神仏が人の形をとって顕現した姿、または化物の類)とはいえ、翁も七十となり今日とも明日とも知れない。この世の男女は結婚するもので、あなたも結婚のないままいらっしゃるわけにはいかない」と言うと、かぐや姫は、「良くもない容姿で相手の深い心も知らずに結婚して、浮気でもされたら後悔するに違いないとし、「世の畏れ多い方々であっても、深い志を知らないままに結婚できません。ほんのちょっとしたことです。『私の言う物を持って来ることが出来た人にお仕えいたしましょう』と彼らに伝えてください」と言った。
とされています。最後に残った求婚者が、「色好みといわれる五人の公達」となっていて、彼らは諦めず夜昼となく通ってくる。その辺りに、若干の伏線があるとは思うのですが。
 かぐや姫の、少女としての純真さを描くために、ジブリ版では、かぐや姫が自らその宿題を出すのではなく、求婚者の自慢話を逆手に取るような心配りがなされていて、自然の中での素朴な生活を愛する、いわば現代の理想的女性の姿への反映がなされているとも、思うのですけれど・・・。
●もともとこの物語は、竹中生誕説話(異常出生説話)、3ヶ月で大きくなったという急成長説話、かぐや姫の神異によって竹取の翁が富み栄えたという致富長者説話、複数の求婚者へ難題を課していずれも失敗する求婚難題説話、帝の求婚を拒否する帝求婚説話、かぐや姫が月へ戻るという昇天説話(羽衣説話)、そのほか、地名由来を説き明かす地名起源説話など、非常に多様な要素が抱合されており、最後は処女のまま月へと去って行く、或る意味、高次元の存在として、一種特別な完成度を有しているかと思われます。
 人間には、「若くて美しいまま、このまま時間が止まってほしい」と強く願う気持ちとか、子供を宿してのち、ごく一般の生命体として老い行くのは嫌だ、というような気持ち、いわば(生の永続性の希求)というようなもの、また、他者からの影響をすべて排除できうるような力を持ちたいという気持ち(存在としての独立性を維持したい気持ち)、とかが、心の奥底にあるのではないかと、私は思っているのです。
 かぐや姫は、女性人生の絶頂において、それまでの記憶を全て失い、異世界へと帰ります。この辺りに、人間の心の奥底にしまわれている願望が、上手く描き出されている気がするのですが、いかがでしょうか? 
 帝がどれだけ権力があっても、生の永続性は実現ができません、人間存在ならば、他者からの影響をすべて排除できうる力を持つことも叶いません。
 この世でただ一人、生の永続性を持ち、矢にも剣にも勝る一種独特な力を行使してこの世を去る「かぐや姫」・・・。かぐや姫のような存在でありたい気持ちは、すべての人間が心の奥底に持つ願望なのでは? と、私は思っているのです。それを表現できているのが、この物語の、一種特別な魅力であって、他のお話には無い特異性かと思うのですが、いかがでしょうか?
●本編は、或る意味、アバ・チベット族の「斑竹姑娘」的な要素を盛り込んだものか、韓流ドラマの最後は、主人公は無事に結婚して、予定調和的に終わります。それが読者側の安心の最大要素。でも、そうならないこの物語は、やはりどこか特別だったのです。






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Last updated  February 24, 2015 06:47:25 AM
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