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| 川崎市で起きた連続児童殺害事件の捜査は行き詰まりを見せ、ついに神奈川県警は現役捜査官をテレビニュースに出演させるという荒技に踏み切る。白羽の矢が立ったのは、6年前に誘拐事件の捜査に失敗、記者会見でも大失態を演じた巻島史彦警視だった―史上初の劇場型捜査が幕を開ける。第7回大薮春彦賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベストテン」第1位に輝くなど、2004年のミステリーシーンを席巻した警察小説の傑作。 |
映画 犯人に告ぐ 公式サイト
このミステリがすごい 2005年版 国内編 第8位
雫井さん原作の、映画「クローズ・ド・ノート」を以前に観ました。
それがきっかけで、雫井さんの本を何冊か読みました。「虚貌」と「栄光一途」。「クローズ・ド・ノート」とはまったく違った一面の作品でした。
雫井さんの「虚貌」と「栄光一途」は、それぞれ、一家惨殺殺人事件と、柔道界を舞台にしたドーピング、という、工夫のこらされた事件が題材でした。
感想としてアップしなかったのは、なにか釈然としなかった。
事件や題材は特異なのですが。
で、映画化されるというこの「犯人に告ぐ」。
主演は豊川悦司さん。
主人公の巻島に風貌やら、似ていますね~。
一度どん底に落とされた、また帰ってきた男の、飄々とした風格。
ただ、ストーリーは、やはり、なんだか釈然としない。
幼児連続殺人事件という、重大な事件だというのに、事件の打破ができないからと、過去に飛ばされた人を、ホントに人材投与するものか?とか、。
また、重大事件のトップに、軽薄で経験も無いような人物だけ据えておくものか?とか、ちょっと疑問。
ほんとに警察の人事こんな裏事情があるのなら、がっかりです。
この頃の、警察への不振という、世間の感情が取り入れています。
警察だって、会社と同じで人間が運営しているのだから、完璧ではないにせよ。。
幼児連続殺人事件解決へがメインではなく、主人公の周囲の思惑で右往左往しているような、おはなし。
右往左往、させるのが巻島の上司の軽薄男。
巻島が飄々としていることをよいことに、自分の大学時代に好きだった女のいるマスコミに、事件の内部情報をちらつかせて気を惹こうとする。
巻島に敵対心を燃やす、、ワケではないようだけど、お坊ちゃんのエリートで、過去の失態で飛ばされた巻島を軽んじ、飄々とした内側の心情を思いやろうともしない。人間的に未熟で底が浅い姿が徹底的に描かれてますね。全てが終わって、この男もマスコミの女も、失ったものの大きさに呆然としたことでしょうが。
全体的に、被害者の家族や、事件そのものは脇役のような印象でしたが、被害者の家族の感情の爆発による〆が、それを補っているかのようでした。
<劇場型捜査>という設定は、また特異なテーマですから、映画に映えるでしょうね。
ニュース番組内で、現場の捜査官が犯人に語りかける、という。
そんな風に進歩的な捜査方法で事件の解決をしようとする割には、終始、警察内の裏切りやマスコミへのリークの方がメイン。裏切る人物の動機がまた、薄っぺらい。
ところで、この主人公は、家族に恵まれてます。
「犯人や、被害者より、自分の娘の方が大事だ!」
大失態を引き起こした、過去のマスコミ対応での発言は、読んでいて辛いものがありましたが、自分が、こういう人の娘だったら、嬉しいだろうと感じます。 夫が重大事件を抱えようがが、窮地に追い込まれようが、淡々とした元婦警の奥さん。
佐々木譲作品や、横山秀夫の重厚な警察小説のような、仕事人間と化した孤高の人とは対照的。「虚貌」の犯人の人物像についても、ちょっとどっちつかずな印象で、それに似た感覚です。雫井さんの作品の人物の特長でしょうか。
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最終更新日
2008年08月05日 22時37分26秒
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