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このミステリがすごい2011年版 国内編 1位 「週刊文春ミステリーベスト10」第1位 「このミス」第1位の人気本でしたが、2年も経ちましたからそろそろすんなり貸出できるようになってきましたかね? 映画にもなりましたね。観てませんが、伊藤英明さん主演でしたね。 この本の魅力はなんだろう? 怖さで言えば、三津田信三『山魔の如き嗤うもの』なんか、ものすごく怖い。 いかにもなホラーです。時代がかったサイコ主人公の一人称。だけど大きな違いは、誰が犯人かは最後まで読者はわからないところが、大どんがえしの面白さ。 その点、『悪の経典』は現代で学校舞台、はじめからハスミンの視点で犯行を一緒に体験?する。 ”ハスミン”こと蓮見先生、表の顔は生徒から慕われる人気教師ランキングならNO.1。 読んでて、伊藤さんの姿がちらつきました。イメージぴったり。 やさしくさわやかで力強い、頼れるイケメン。 でも、裏の顔は”サイコ教師”。共感能力欠如の大量殺人鬼。 サイコな映画は苦手です。 血煙が浴がるシーン、ジリジリ追い詰めるシーンは、べたですがホラーの原点『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』を思い出す。 サイコものが、現代の日本で進化するとこういう話が生まれるんだね。 ジェイソンとかフレディ並みのハスミン。やっかいなことに優秀な頭脳が加わって。 主に蓮見の視点で物語が進み、彼の過去、思考の流れ、事件への決断、きっかけや瞬間も分かります。なので、殺人鬼への”共感”は論外だけど、物語に説得力があるのかな。彼の理屈ではこうなるのか、、と。 対する、生徒はみんな普通の子ども達。 不良っぽい子や、頭の良い子もいますが、担任であるハスミンを信じている素直な子たちです。 蓮見に、互角で渡り合えるような、スーパー高校生は登場しません。 数名、蓮見に疑惑の、目を向ける子もいますが。 ほとんどがあっけなく殺されていってしまいます。蓮見の、ほとんどひとり舞台。これがリアルで怖い。教師らしく出欠をとるかのような殺し方。 この頃は、学校や教師の不祥事、無差別大量殺人、携帯”出会い系”殺人、生徒の自殺事件など、ニュースになるのがめずらしくないから、 こんな精神異常者が、まかり間違って、普通の高校に教師の仮面をかぶってもぐりこんでいても、おかしくないかもしれないという、薄ら寒いリアル感があります。 学校舞台の死闘『バトル・ロワイヤル』、生き残りゲームの『リアル鬼ごっこ』とかと違うのは、まさかの担任による死闘。とうとうこんな話まで出てきたの。 それに貴志さんの本は、『黒い家』もそうとう怖かったけど、この方の描く怖さは独特ですね。リアル感が半端ない。重厚そうで読みやすい。登場人物たちを取り巻く周囲のことや、人物造詣。しぐさや行動理由など、細かいところで説得力を持たす。たとえば蓮見が犯行前に、犯人に仕立てる人物の靴を交換するところや、それに気づいて違和感を感じる生徒、でも見過ごすまでの流れ。猿ぐつわをはめるのに、唾液で布が膨らむので手を使わないと取り出せないギリギリのところまで押し込む、というような描写が、それです。 上下巻分厚いですが、あっという間に読めます。 誰が生き残れるのか? 蓮見は逃げおおせるのか? 読後感想 『黒い家』 『天使の囀り』 『迷宮のクリムゾン』 『ISOLA-十三番目の人格-』 『硝子のハンマー』 『青い炎』 『新世界より』
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最終更新日
2013年08月31日 21時53分46秒
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