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熱く語る!時もあるエゲレス在住主婦のつぶやき

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2006年08月03日
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カテゴリ:つぶやき
昨日の日記に暖かいコメント下さって、ありがとうございました。
それと、重苦しい気持にさせてしまってごめんなさい。
と謝っておきながら、今日も重苦しい日記になります。
これは、里帰り中、ずっと書きたいと思っていた事で、父と母、両方への私の思いを書いておきたい、という自己満足日記です。

母は現在、父を介護中。
現在、という言い方はあまり正しくない。
現在だけでなく、これからもずっと介護中だから。
変な言い方、母の「介護生活」が終わるのは、父の人生が終わる時。

昨日も書いたけれど、父の介護というのは、体力的にはそれほど厳しくは無い。
夜中に何度も起きて抱きかかえてトイレに連れて行ったり、とか、そういう苦労は無い。
「楽な方」である。
でも、父が倒れてからの母の3年間を見て、私はどちらかというと、母の方が心配なのだ。

どちらかというと「楽な」介護なので、母は一人で父を面倒見ている。
週に一度、父をデイケアに預けて、その日だけは母の休日になるけれど、デイケアといっても保育園のようなもの。
午後4時には父が帰ってくるので、遠出は出来ない。
しかも、休日といえど、郵便局に行ったり銀行に行ったり、溜まっている雑用をその日にこなさなければならないので、自分の為に使える時間は思ったほどは無い。
母は毎日3食、父の病気を考慮に入れて栄養のバランスの取れた食事を作る。
父は外食がもともと嫌いで、病気になってからは更に外出嫌いになったので、母は毎日必ず作らなくてはいけない。
しかも、毎日決まった時間にきちんと食事をとらせなくてはいけない。
脳が一部壊れてしまっている父は、もともと融通の効かない性格に拍車がかかって、スケジュールどおりに事が進まないとちょっとパニックになる事もあるらしい。

食材の買い出しに行くのも、かなりの時間制限がある。
あまり父を家に一人にしておくと、父が心配してパニックになるかもしれない。

乳飲み子を抱えた事のあるお母さんなら想像出来ると思うけれど、自分の自由になる時間が、ほとんど無いのだ。
乳飲み子は大きくなるので、いつの日か自分の時間も増えていくけれど、母の場合はそれは期待できない。
現状がずっと続くか、悪くなるだけだ。

姉は今もフルタイムで働いて実家の近くには住んでいないし、私は飛行機で12時間のところに住んでいるので、母は気が抜けない。
母は自分が風邪を引いても熱を出しても、父の食事は毎回作らなければならない。
自分が倒れては元も子もない。
だから、自分の健康管理にものすごく気を使っている。
あんなに体の弱かった母なのに、

「今年は風邪ひかなかったわ~」

という台詞を、3年連続で聞いた。
一体いつまで風邪知らずで過ごせるのだろう、と、
母に不似合いなほどの健康ぶりを、却って不気味に思う。

母は、一日のほとんどを父と過ごす。
まともに話の通じない父と過ごす。
週に一度の休日を使って、たまに友人とランチをするのが楽しみだという。

「たまにはちゃんと人と会話しないとね、お母さんまで頭おかしくなっちゃうと思う時あるのよ。」と愚痴を言う。

義母がたまに聞いてくる。
「誰かに介護手伝ってもらったり出来ないの?旅行とかいって気晴らしすればいいのに。」

デイケアに預けて手伝ってもらってもいる。
たまにデイケアに何日か預かってもらって、友人と旅行に行って気晴らしもしている。

「なら良かったわね。」
義母は、母の苦労の100分の1もきっとわかっていない。

どんなにやりくりして「お休みの日」を増やしても、旅行に行って気晴らししても、母の心が父から100%解放される事は決してないと思う。どんなに楽しんでいる時でも、デイケアに泊まる事を父がとても嫌がる事を母は身を以て知っている。
夜、眠れているか、(父の病気は不眠は大敵)、薬はちゃんと間違わないで飲んでいるか、水はたっぷり飲んでいるか。
どんなに楽しもうとしても心のどこかでは、きっといつもそんな事を考えている。

そしてそれは、ずっと続く。父が終わるときまで。

父が倒れた年、父と母は本当は英国旅行を予定していた。
私たちを訪ねて、それから湖水地方やスコットランドにも行きたい、と母は言っていた。
海外が大嫌いで、決して日本から出たがらなかった父が、ようやく私のところに遊びに来たいと思ったそうなのだ。

母はきっと、父といろんなところを旅行したかったと思うのだ。
年金生活になって、自分の時間がようやく余る程持てるようになって、いろいろ遊びたかっただろうと思うのだ。
たまにバイトで小金を溜めて、ちょこまか旅行するのが好きだった母。
でももう、父も母も私のところには遊びにこられない。
父にとって健康上のリスクが大きすぎるし。
母はさすがに父をデイケアに預けて海外にまでは来れないだろう。
来たくないだろう。

思いきり楽しむはずだった老後生活。
自分の為の時間がいっぱいあったはずの老後生活。
今まで私たちの為に父と共働きで頑張って来た母は、老後も父の為に自分の時間はほんの少しで頑張っている。

これが、「どちらかというと楽な」介護生活だ。
どちらかというと楽でない介護生活は、一体どうなってしまうんだろう。。。

最近、赤塚不二夫さんの奥様が亡くなった、という記事を読んだ。
赤塚さんの介護を一生懸命していた奥様が、赤塚さんより先に亡くなった、と。
倒れて手術をして小康状態の時に、遺書まで書いていたそうである。
自分のお葬式の事、事務所の事、後の事をいろいろ、指示して逝かれたそうである。

きのうの二郎さん同様、読んでいたら涙が流れてきた。
とても他人事とは思えなくて。
最後まで周りのことを考えて、責任全うして逝かれたんだなぁ。

介護で心身ともに疲れ果て、経済的にも困窮し、痴呆で老いた母を殺した人の裁判の記事も読んだ。

「裁判では被告が裁かれているが、実際は日本の体制が裁かれているのだ。」というような事を裁判官が言ったらしい。
きっと、全国の介護をしている人達は、やりきれない気持でこの言葉を聞いただろうと思う。
被告が他人とは思えなかっただろう。

医療の進歩で、数十年前なら死んでいただろう人が今は生き残れる。
かなり自分の希望とは違った形かもしれないが、とりあえず生き残れる。
「老後」という時間も、以前に比べ、かなり長くなっている。
それも、自分の希望に沿った形で老後を送れるとは限らない。
でも、それを受け入れる体制は、まだまだ整ってはいない。

私みたいな自分勝手な娘がいると、事態は余計に深刻になる。

とりあえず、これが、「楽な」方の介護の実体です。
そして介護問題っていうのは、「どこか自分とは遠いところで起こる」とは限らない、という事を心に留めておくのは、決して無駄ではないと思うのです。





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最終更新日  2006年08月04日 02時31分42秒
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