本日はまじめなお話のご紹介
なんだかとっても考えさせられたお話しです
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
父さんと母さんは何か隠してる…。ひとりっ子で病弱なぼくは、想像上の兄を作って遊んでいたが、ある日、屋根裏部屋で、かつて本当の兄が存在していた形跡を見つける。1950年代のパリを舞台にした自伝的長篇。
2004年にフランスでベストセラーとなり、
「高校生の選ぶゴンクール賞」「エル読者大賞」に選ばれた作品です
1950年・・・・というのを聞いて、
はっとされる方もいらっしゃるはず・・・
そう第二次世界大戦後のパリでのお話しです
あるきっかけから、自分に自信の持てない少年が、
両親の秘密を知ってしまう
両親の禁断の恋罪の意識そしてホロコースト
事実に驚きながらも、それを知ることによって、
自分自身の生き方に責任感と、意味を見出す少年
この作家さんは、現在パリで精神分析クリニックを開業されている方
本人が戦争や、ホロコーストを経験されたわけではないのですが・・・
また、この小説は戦争のお話し・・・というわけでもないのですが・・・
両親や周囲の人の、罪の意識が
無意識に幼い少年の思考にまで、暗い影を落としてしまう・・・
それらのことがかえって、戦争の傷は本当に続いていくんだ・・・・
と実感させられました
特に私の心に残った言葉が以下の言葉です。
「これまではリートやオペラで心を揺さぶり、文学や哲学で精神を養って
くれたあの国の言葉が、もはや耐えがたいものとなってしまった」
「歴史の授業で学んだことがらは、もはや太字で印刷された教科書の見出し
ではなく、にわかに生気を帯びて動き出した。
白黒写真が色彩を取り戻したかのよう。」
特にの言葉は、ずしんとしたものがありました
ちょっと考えれば、当たり前のことなんだけれど、
今まではそこまで考えたこともなかった
生まれ育った私の国の文化や言葉
愛着を持っているこの言葉も、
今現在も、誰かにとっては2度と聞きたくない言葉なのかもと。
上手な感想が言葉に出来ないのが、悔しいのですが
お話し自体は思いっきり戦争ものでは決してなく、
小説としてとってもよく出来た作品
出来るだけ多くの方に読んで欲しいなぁ
と思える作品でした