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今日はちょっとせつないお話しを読みました スイスの作家さん「ゾエ・イェニー」さんの 「花粉の部屋」という本です
図書館で借りたので知らなかったのですが、もう絶版なのだとか
[BOOKデータベースより] 幼い頃、父と母は離婚した。母は新しい恋人と海外へ。父もやがて再婚し…。娘をかえりみない子供のような親。抵抗のすべを知らない子供。世界を静かに覆しつつある新しい家族像を、自らの体験をもとに、柔らかな声で描いた、21世紀文学の幕開けを予感させる長篇。ドイツ語圏の文学賞を独占した23歳の新人の、繊細、果敢な話題作。 主人公は18歳のヨー 幼稚園の時に、父と母が離婚してしまう・・・ その後父は再婚し、母も再婚して海外へ・・・
高校卒業と共に、ヨーは思い立ち海外にいる母親のもとへ 会いに行きます 大学に入るまでの1年間、母親と暮らすため。 そしてその後は、三度結婚した父のもとへ帰るのですが・・・
この本は、ヨーの目線を通しての、日常・そして思い出がたんたんと 綴られています 解説にもあるけれど、そこにヨーの内心の感情というのは一切描写されていません ただ「そういう気にはならなかった」というような表現が描かれてあるだけ
でもだからこそ・・・ 主人公の「孤独」がひしひしと伝わってくる作品でした
父親との生活で自分の居場所があったのも、ほんのわずかな時期 そこに新しい恋人や、家族が出来て、ヨーは自分の居場所を失います そこで思い立ち、母親のもとにいきますが、 ここでも同じように自分の居場所はなく・・・ せっかく見つけたと思えた自分の役割さえも、母親からは 「必要なかった」と言われてしまう どこに行っても、ふわふわと存在感のない主人公 まるで幼い子供が自分の居場所を一生懸命探しているよう
ヨーの父親も母親も、物質的にヨーのことを拒んだりはしない ヨーが来たいといえば、出迎え一緒に暮らします でも心の中では、ヨーのことを迎えてはいない・・・
拒絶されてはいないけれど、迎えてもくれない
決して、虐待や放棄ではない ただだからこそ、ふわふわとした「孤独」が強い気がしました
特に何の不自由も大きな悩みもないけれど、 ふっと孤独を感じたり・・・自分に居場所がないように感じたり・・・
そういう経験ってありませんか
そういう孤独をずっと何年も抱えて生きてきたヨー
立場や環境は全然違うけれど、 ふっと自分とだぶることもあって・・・ この本の書評の一つにも、 「ある世代の実体をあますことなく見せている」 とあります
今まで愛情いっぱいに悩みもなく、幸せに生活してこられた人もいる・・・ でもどこかでふっと、孤独を感じちゃうことってきっとあるし、 そういう方も多いと思う
だからこそ、主人公の「孤独」が分かってよりいっそう切なくなってしまう・・ そんなお話しでした
ちなみにこの作者さんは「吉本ばなな」さんがお好きなのだとか 私は、吉本ばななさんはあれだけ有名にも関わらず、 世界の旅シリーズと、 昔に「哀しい予感」を呼んだことがあるだけ
なので2作品の共通点は分からなかったけれど・・・
またこの方の作品も読んでみようと思いました
『秋の牢獄』 2009年03月23日 コメント(6)
『コブの怪しい魔法使い』 2009年03月04日 コメント(13)
『スタインウェイ戦争』 2009年02月23日 コメント(4)
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