カテゴリ:過去のコト
当たり前に食べている訳ですが
病気になってしまえば、食べられない。 食べる事によって命の危険性が出てくるので食べられない事もある。 食事意欲がなくなってしまったので食べられない事もある。 昔、看護婦になって5年くらいした時でしたかね? 内科病棟にいた時、IVH(中心静脈栄養){鎖骨の下の静脈から高カロリーの栄養を入れる方法}をつけた方がいたんです。 認知症もあってIVHをはずすので拘束もされてて。 元気のいい人で体格も良く、暴れたら結構大変で。 でもね。急に夜に亡くなったんです。 昼間に 死ぬまでに絶対”そば”を食ってやる! という言葉を残して。 嚥下と消化器に問題があって食事ができなかったんですが、病院なんで真面目に何と言われても食事させなかったんですねぇ。 亡くなってから 「あー一口でもムセてもいいから食べさせてあげたかった。。」 と思ったんです。 でも、もうそんな事も出来なくて。 特養に移ったら食事制限もゆるやかになって。糖尿でも高血圧でも病院よりカロリーは高い(と言っても1400kcalですが)方だと思います。 食事欲を無くした利用者のAさんがいまして、とにかく食べる事を忘れてしまったんですね。 箸もスプーンも持たないし、ただただ食事を見ているだけ。 介助すれば1口2口はなんとか。そして…。 「もうお腹いっぱい」 なんとかこの状況を打破したいと食べやすいモノを用意したり、食事形態を変えたりしたけどダメ。 特養だと食事が出来なくなったら、住めないのでなんとか…と思ってる時に「誕生会」がありました。 全員に誕生日メンバーの希望の昼食(お寿司・天ぷら・ケーキ等)が並びます。 その時Aさんが隣の人の食事を「じーっ」と見てるんです。 Aさんの食事はおもゆ・ミキサー。隣は常食。 しかもあるお皿を凝視。 「お寿司」でした。 これ食べますか?と聞くとコクリとうなずくAさん。 みんな喜んで栄養士も小粒のマグロのお寿司を握ってくれました。 小さいマグロが5貫。 みんなが見守る中1口1貫のお寿司をほおばるAさん。 時々ムセながらもニッコリ笑って全部食べました。 量ではないんです。自分で食べた事に意義があるんです! 嬉しかったなぁ。絶対病院じゃ「ナイ」光景でしたねぇ。 それから少しずつ食事に意欲が出てきたAさんはその半年後に亡くなりましたが。 どうですかね? こっちで食べ損ねたモノはないですか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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