思い出のクリスマスプ今でも覚えているクリスマスプレゼントは蟹の形をしたパンだった。 子供の両手のひらに乗る位のパンで、中にはアーモンドクリームが入って いたと思う。 今になって思うとなぜパンだったのか、わかる気がする。 私の実家はドラマにでも出てきそうな家だった。嫁に理解の無い父の両親。 それに父の兄弟である小姑が5人もいた。長男の嫁である母はドラマ真っ青の 日々を送っていた。それなりの家柄を持った家ではあったが、母には自由に 使えるお金は無かった。 嫁がせた母の実家も心配でよく、私達子供の為におもちゃなどたくさん 買ってくれたりした。しかしそれもあっと言う間に小姑達に盗まれたりして しまう事が多かったそうだ。 今になって聞く話から母は私達を全力で守ってくれていたのがわかる。 そんな母がクリスマスプレゼントとして送ってくれたのがカニのパンだった。 多分カニの他にも2.3種類のパンがあったように思う。 当時子供ながらになぜこんなに大きな家に住んでいてクリスマスプレゼント がパンなのかと不思議だったと覚えている。でも今ではその時の母の気持ちや どういう思いでクリスマスプレゼントにパンを買ったのか判る気がする。 現在パンが好きなのも(食べるのも、作るのも)、きっとこの思い出が 知らず知らずの内に心に残っているからであろう。 |