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横浜は燃えている!

横浜は燃えている!

あぁ腎生検...2




    腎生検そのものは10分程なのだが、患者の立場として仰向けの絶対安静が終了して初めて
   腎生検が終わったと言える。どの情報もこの絶対安静がキツイとある。元々うつぶせ寝が
   基本の私はモロにその苦しさを実感する。重力ってこんなにシンドイもんなんだなぁと
   ひたすらに仰向けでじっとしている。


    枕元の左右脇にお茶の入った吸い飲みやiPodや本やらが置いてあり、うっかり腕を伸ばす
   と落ちそうになる。消灯になり、全く寝る気分になれないので読書用の電灯をしかたなく
   点けておく。


    尻が痛い、正確には尻上部と腰の境目辺りが非常に痛い。それと足の付け根と太ももの
   裏側が痛い。膝は立てても良いとの事だったので膝を立てたりして空しく痛みを取るべく
   努力する。幸いにもトイレは大丈夫。看護士さんのアイスノンで頭痛が一段落すると、
   とにかくこの尻の痛みとの戦いだ。


    こうして眠れぬまま過ごしていると周りの人がどんな事をしているのか判る。周りの
   バァさん連中は夕食が終わると消灯前の20時頃からイビキをかいて寝始める。中には22時
   頃まで起きてTVを見ている人もいる。どの人も朝まで一気に眠る人はいないようで、夜中
   にところどころで読書灯が点ってはすぐ消える。しかし皆イビキや寝言やおならがスゴイ。
   今回私は耳栓を持ってきたから良かったが、無かったら眠れなかっただろうなぁ。しかし
   この病院の布団は短くて足首から下が出るので寒い、枕も高いので使っていない。


    iPodの時計で時々時間を見るが、結局1時から2時位まで一時間程しか眠れなかった。
   そうこうして6時になり室内の電気が点く、と同時に採血をしに男の看護士の人が来た。
   その後に昨日からお世話して頂いている看護士の人が来て「トイレ大丈夫だった?」と 
   心配してくれる。昨夜にクシャミをしたらスゴイ背中が痛くなったと伝えると背中から
   出血していないか確認していた。血圧と体温など測定。


    「先生は7時20分頃には来てくれるって言ってたけど万が一来ない時は昨日みたいに
   寝ながら食事をしてね」と不安な事を言う。そんな可能性があるの...?あの先生って
   そんないい加減なヤツなの?



    時はノロノロとだが着実に進み、食事前のお茶が回って来る。「先生~来てよ~」と
   祈る私。お茶の配給が終わった頃に先生到着。やっぱりファミレスの社員とは訳が違う。
   私の心配をよそにニコニコと当然のように来てくれた。

    先生が用意をしている間に食事が運ばれて来るが、看護士さんの心遣いで昨夜のと
   同じような寝たきりでも食べられるように楊枝がたくさん刺してある食事だった。先生が
   「もう普通に食べられるのに」と言うと、看護士さんが「万が一先生が来ないって事もある
   と思って」と説明していた。先生苦笑。



    先生が機械の用意をしている間に「テープを自分で剥がしましょう」と言われて剥がす。
   猛烈に痛いが先生にひっぺがされるよりは、と我慢するものの痛い。ちなみにこの時点で
   起き上がるのを許される。何とか剥がし終わるとうつぶせになり、もう一度背中にエコーを
   当てて確認する。「大丈夫ですね、じゃぁもう一度消毒しましょう。テープは明日剥がし
   て下さいね」と言う。後で検尿をして最終チェックは終了となり退院への道が開かれる。
   予定では翌日だ。

    「出血は必ずすると思って下さい、特に今日一日は要注意です」との事。先生の説明不足
   もあり、この時点では出血は背中の傷跡から、と思い込んでいた。けれども出血は表立って
   見る事はできず、体の中での事なのだった...。これを知ったのは何と退院時に看護婦さん
   から説明された。先生~


    「針を刺しといて何なんですが、一度旦那さんとお話できませんか?」と言われた。
   「いつも19:30頃に来ているので今日も来ると思うから連絡します」と言う。




    安心の余り、食事も取らずにトイレへ直行する。念の為看護士さんに検尿のタイミング
   を聞いたが良さそうなのでトイレへ行ってから食事をする。食事後に毎度血圧と体温の
   測定時に「検尿してきて下さい、ひょっとしてもう出しちゃった?」と言われる。もう
   自由に歩き回れる気軽さから「すぐ出ます」と答える。

    ここに入院してから蓄尿を義務づけられている。家でやるのとは違い、入れ物なども
   年期の入ったものだがトイレに置いてあり個人名が貼られて並べられている。時間になると
   看護士さんが検査に出してくれて清掃もしてくれる。腎生検後の尿は点滴の色そのままに
   オレンジに近かった。検尿の紙コップをナースステーションに持って行く。廊下を歩くのも
   ほんのしばらくであったのに普通に歩けずヨタヨタと背中を丸めて歩く。


    昨晩眠れなかったので一通り終わると眠気が襲ってきた。久しぶりにうつ伏せになって
   グーグー寝ていると看護士さんに叩き起こされる。何事かと思いボーッとしていると
   「怠い?気分悪いの?」と必死になって心配している。「眠くって」と答えると納得して
   くれて「腎生検疲れるからね」と言ってまた寝かせてくれた。これも後で聞いたのだが
   出血するとだるくなって眠くなる事があるのだ。更にいい気になって眠り続けていたら
   今度はお昼ご飯で叩き起こされた。



    他の体験談とは違い、血圧や体温のチェックにはこの病院はそれ程こまめには来ない。
   腎生検前と比べて1回多い位で、起き上がれるようになるともう健康体時と同じになる。
   しかし「だるいですか?」「背中が痛くありませんか?」とマメに聞かれるものの、実際
   起こっている痛みやだるさが我慢の範囲内なのか訴えるレベルであるのか判断しかねる。
   ついつい「多分大丈夫です」などと相手を困らせるアバウトな答えをしてしまう。
   

    気ぃ使いなのでどうしても出来る事なら自分でやろうと思ってしまう。看護士さんは
   「何でも言って下さい」と言ってくれるし、水を頼んでも何でもないように持って来ては
   くれるが、やっぱり恐縮してしまう。周りのバァさん達みたいに気兼ねなくナースコールで
   呼び出して、どんどん動いてもらう方が看護する立場としては良いのかなぁ。
   




    病院食と言うのは味気ない物と割り切っていたし、入院したら低タンパク、減塩食に
   なりますよとは言われていた。実際出された物は案外品数もあったりした。腎臓が悪くなる
   以前から薄味主体だったので減塩食も苦では無い。ここの食事の不満を言うとしたらいつ
   作ったのかと思える位に冷えきった食事(ご飯はかろうじて生温かったが)とどれもこれも
   柔らかい物ばかりだった事くらい。

    ご飯は多分低タンパク用のご飯だろう、明らかに普通のご飯とは違う。透明感があって
   片栗粉をダマにしてしまったようなものだ。しかもベチャベチャなのでご飯は硬い派の私
   としては少々しんどかった。これまでご飯を食べるよりパンの方が多かったので、変な
   ご飯を食べるくらいならご飯など無くても構わないけど、そうはいかないのだろう。



    食事中も皆カーテンを閉め切っているので他の人がどんな食事をしているか判らない。
   食後の看護士さんの血圧、体温チェックの時に残した食事のチェックも入る。すると他の
   バァさん達は私に無い物を食べているようだった。しかもこのバァさん連中は売店に行って
   買い食いしたり、家族の差し入れをモリモリ食べたりして一番若い私が一番貧しい食事を
   している訳だ。旦那はアイスクリームを持って来てくれたが、看護士さんに止められたので
   自分で食べていた。



    昼食後にも少し眠くなってきたが、ここで眠って夜眠れないのは避けたいので起きて
   面会室などをのぞきに行く。するとジャンプやマガジンがあったのでバァさん達の部屋に
   戻らずマンガを読みふける。

 
    お昼頃だったか、先生が来て「尿が少し濁っているのが気になるので抗生物質を出す
   ので飲んで下さい」と言われた。夕食前に看護士さんが薬を持って来たので見ると以前に
   ジンマシンを出した事のある薬だったので慌ててナースステーションに持って行くと
   先生もちょうどいて「あれ?そうだったっけ」と私のカルテを確認して「違うの出すから
   ゴメン」。と言ったものの抗生物質を貰ったのは退院時だった。しっかり者なんだか
   ウッカリ者なんだか判らない先生だ。

    テープにかぶれた私は背中を掻いた時に先生が朝貼ってくれたテープ(本当にただの
   バンソウコだった)を剥がしてしまった事を言うと「早いけどまぁ良いでしょう」と言って
   ウケている、チト不安。

    腎臓内科のもう一人の先生が「念の為もう一泊させよう」と言ったらしいが、この先生が
   「最初に4日と約束したから」と退院を決めてくれた。他の病院では結果が出るまで入院を
   続ける所もあるらしいが、私は腎生検だけを受けて退院した。先生は「結果次第でまた入院
   するかもしれませんが、結果が出るまでいても無意味ですから退院しましょう」と有難い
   事を言ってくれた。




    夕食が片付くと旦那が来たのでナースステーションに一緒に行って先生を呼び出して
   もらう。向かいの面会室で待っていてもなかなか来ない。食事時だったのかなぁ、と思い
   待つが来る気配がないので旦那はもう一度呼び出してもらう。

    ようやく先生が来て面会室じゃなんだからと昨日腎生検をした処置室でお話をする。
   私の腎生検以前の検査結果の経緯を表した資料などを見せて説明してくれる。私は既に
   説明を受けた事ばかりだが、旦那は初めて聞く事にショックを隠しきれない。この処置室は
   すごく乾燥しているようで私はノドがガラガラになり、気分も悪くなってきた。

    一通りお話が終わり、先生のポケベルが何度も鳴るのでこちらもしつこくしては迷惑と
   思い、これでお開きになった。面会終了時間はすっかり過ぎていたので旦那はおとなしく
   帰って行った。


    昼寝をしなかったし、まだ疲れが残っていたのか21時の消灯とともに朝までグッスリと
   眠った(もちろん耳栓付き)。バァさんの何人かは眠れないと言って睡眠剤をもらって
   寝る。昼間あれだけ寝てりゃぁ夜眠れる訳がないのだが、夜も大イビキで寝てるんだよ~。






    4日目の今日は退院だ。前日の夕方に概算請求書を届けた看護士さんが「明日10時までに
   支払って下さい」と言うので旦那に9:30頃には来るように頼んでおいた。退院の日だから
   なのだろうか、血圧も体温も食事のチェックもしない。



    先生が朝食後すぐに来た。この先生は週二回午前中の外来のみなのだが、毎日早朝から
   夜遅くまで働いている。「どうですか?」と言うので、起きてから耳の下が痛いので正直に
   伝える。痛い辺りを触診して「リンパ腺じゃないから大丈夫ですよ」と言うので安心する。
   私がホッとしたのを見てニコニコ笑っている。

    「もう一度アレルギーの薬を教えて下さい」と言うのでお薬手帳を見せる。ついでに
   今まで使用した薬もメモっているが、そのメモが本当にそこらの端をビリッと破った紙に
   書き込んでいる。う~ん、なくすなよ。


    今回の腎生検の結果が出るのに10日程かかるので、その間にやっておく事やこの先に
   必要になる薬や入院などの可能性を説明してくれる。そして1週間は出血の可能性がある
   から安静を何度も言われる(がこの時点でも私は出血が背中の傷からと思っている)。
   当分自転車、バイクは禁止、階段の上り下りや外出も可能な限り禁止。要は縦揺れ御法度
   と言う事だ。

    腎臓は普段息をしただけで2cm位動くそうで、言うなれば体の中でユラユラ揺れている
   臓器だから、今回穴の空いた所にできたカサブタが揺れた時に少しでも剥がれると大出血と
   なるらしい。だから安静第一なワケだ。「じゃぁ今度は外来で会いましょう」とニコヤカに
   去って行った。

    本来ならここで先生に「あのこれを...」などとお礼を渡すのかもしれない。でも入院の
   冊子の中に謝礼は受け取りません、とあったので渡さなかったけど...。今度の外来の時に
   チョコでも持って行ってあげよう。


   

    9時過ぎに早々と旦那が来る。退院の書類が出来るまで会計もできないので、二人で
   ベッドに腰掛けて待つ。土曜日だったので退院の人が多いらしくしばらく待たされる。
   会計用の書類だけを事務の人が持って来た。まだ看護士さんから説明があるというので
   旦那に会計を済ませに行って貰う。会計が済んでも看護士さんが来ないのでしびれを切ら
   した旦那はナースステーションにせかしに行く。するとすぐに看護士さんが来て薬の説明と
   この時初めて出血がどこでしてどういう状態になるのか説明を受けた。

    一応周りのベッドの人に挨拶を、と思ったら皆さん爆睡中なのでしかたなく帰る。
   病院でゴロゴロしていた身に車の振動というのは結構くる。確か車は大丈夫だって言って
   たけど、ちょっと心配。


    家に着くと一足先にワンが帰ってきてボーッとして待っていた。ワンもワンで初めての
   所で気を使って疲れたんだろう。これで腎生検の入院は終わり。あと一週間位は自宅で安静
   に過ごす。病院内はもの凄く乾燥しているので家に戻ると湿気にホッとした。




    ちなみに入院中に入浴は一切無し。入院する日に当分は入れないと思ってタップリと   
   自宅で入っておいた。病院の入浴日は週に3日しかないのでタイミングが合わないと全く
   入れないが、この病院で入浴する気にはチトなれなかった。腎生検後の入浴は退院翌日より
   軽めならOK。事前にいつもの美容院の人に何日も髪を洗えない場合の対処法を聞いて
   おいたので何とか乗り切った。




    こうして振り返ってみるとドラマなどを見て想像していたのとはかなり違う。まぁ病院に
   よってもかなり違うと思うが。看護士さんは案外接点が無いし、逆に先生は今から思うと
   看護士さん以上にちょくちょく来てくれていた。ここに記した以上にお話に来てくれた。
   この担当医が笑いの判る人で本当に良かった。そうじゃなかったらとても救われなかった
   だろう。それともう少し病院がキレイなら...。
   
   

    


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