2005/01/30(日)09:59
モロッコの犠牲祭
今週から私は学校に戻って、また以前の生活リズムを取り戻しつつあります。
チョコレート祭りの興奮冷めやらぬうちに始まった料理学校ですが
今年初の調理実習はパスティッチェリア(製菓)の授業で
祭りの翌日もチョコレートタルトとホワイトチョコレートタルトと
リコッタのバヴァレーゼとクランブルケーキと、etc....。
甘い生活?で本来甘党ではないDeliziaはボコボコにされました。
さて、夫も10日間のモロッコ滞在を終えてイタリアに帰ってきました。
昼間はシャツ一枚でOKなカサブランカも
夜は猛烈に冷え込むらしく、寒暖の差に対応しきれず
着いてすぐに風邪を引いてしまったそうです。
彼がカサブランカの空港に着いて
いつも故郷滞在中は運転手となってくれる親友B氏とおちあって直行したところは、
羊販売所。
そんなに羊が買いたかったのぉ~?
いやいや、犠牲祭が近づくごとに羊の値段は上がっていくらしく
なるべく早めに肉付きの良い羊を手に入れた方が良いそうです。
そこで彼は羊を3頭購入。
買いすぎや~ん!
これはイタリアにいる義姉の息子夫婦にも買ってやるよう
義姉からお金を預かってきたため3頭購入となったらしいです。
一頭何キロくらいあるの?
50キロくらいかな。
50キロで相場は200ユーロだそうです。
もっとデブだと値段も上がります。
この時点では予約しただけで、後日ワゴン車で引き取りに行ったそうです。
夫の実家は3階建てアパートで、全て親戚の3家族がワンフロアーごとに住んでいます。
この3家族分、3頭の羊を買って屋上でうちの夫が3頭とも屠殺したそうです。
犠牲祭の朝はからモスクでお祈りを済ませ
各家庭で羊殺しに取り掛かるのですが
家庭によっては屠殺方法が解らない場合もあるらしく
そんな時はお肉屋さんに来てもらって殺してもらうのだとか。
まずは神の名を唱えて喉に刃渡り40cm程のナイフを一刺し。
神へ命を捧げる羊はメッカの方角に向けて地面に置かれます。
イスラム教徒は羊が苦しむ時間を短くするため
そのナイフを抜きながらもよく切りつけるそうです。
(ユダヤ教徒との屠殺法の違いがココなのだそう。
ユダヤ教徒は抜く時は切りつけずスッと抜くだけだそうです。)
そして羊が絶命するまで5~7分放置します。
痙攣したような動きもやがて止まったら絶命の瞬間。
この時点で大抵の血は体外に出てしまうそうです。
その後、頭部を切り取り両足を縛って吊るします。
羊の毛はどうやって刈るの?
私はジョキジョキと毛刈り鋏で切るのかと思っていたのですが
短く鋭いナイフで皮から切るそうです。
まず後ろ左足の毛皮と肉の間に切れ目を入れ、そこに菜箸状の木の枝を差し込み
なんとそこから空気を入れて羊を膨らませるというのです!
夫は口で空気を入れたそうです。
(たばこを吸う人は肺活量に欠けるので自転車の空気入れを使うとか。)
実際、毛皮と肉の間が膨らんでいるワケですが
膨らんだら後は簡単で、序々に毛皮と肉を切り離すのにナイフを入れていき、洋服を脱がせるように剥がします。
その毛皮は塩で洗われてそのままフワフワの絨毯になるのだそうです。
家庭で洗う場合もあれば、専門の業者に出して真っ白なタペットになる場合も。
宗教的行事で屠殺した動物の肉や毛皮を売買することは禁止されていて
あくまで必要としている家庭に分け与えるよう、法律でも定められているのだとか。
だから貧しい家庭で絨毯が必要ならば贈られるそうです。
吊るされた羊からは内臓が取り出されて
お昼はレバーや心臓を串刺しのケバブにしていただきます。
夜はトリッパ(腸)の煮込みをいただきます。
夫の家系はオリジナルが砂漠の民だったそうで
砂漠に古くから伝わる独特の「スパイスを漬け込んだ酢」で
トリッパ料理は味付けされるそうですよ。激ウマだとか。
羊の食べ方は各家庭によって様々ですが
夫のお家は1日目は内臓だけ取り出して、
肉はよく血抜きが終わった2日目に裁くそうです。
頭は丸焼きにして毛をはらってキレイにした後
1日かけて蒸し煮にします。
2日の朝はハリラというスープをいただき
お昼にミントティーと共に頭の蒸し煮をいただきます。
夜は羊肉を裁いてグリルして食卓へ。
羊の皮の部分は天日干しにして干し肉として
クスクスなどに調理に使われます。
もうこの後は肉三昧のお食事が続くのだとか。
あぁ、聞いただけでもお腹いっぱい。
以上、今日までに聞いた犠牲祭の報告でした。
実際に見ていないので臨場感を伝えきれませんが
まだ肝が据わっていないので、聞くだけで調度いいかな...。