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テーマ:高校野球(3600)
カテゴリ:野球
送りバントは重要。特に高校野球においては重用されております。送りバントの正否が勝負を分けることも少なくない。
二塁に進めワンヒットでも生還。三塁に進め内野ゴロや外野フライで生還。パスボールやワイルドピッチでも生還。バッテリーや野手にプレッシャーも与えるし落ちる球は使いにくくなるから絞りやすくもなる。 しかし世の中には驚くべき“送りバント馬○”がいた。 夏甲子園 常葉橘高vs旭川大高 NHKのテレビ解説者 村本忠秀(NTT関西監督)、その人である。 9回表を迎え常葉が2-0とリード。旭川は先頭の3番打者がヒットで出塁。迎えるは4番打者。ここで解説者がドギモを抜く一言を発した。 「2点差ありますけども、送って何とか1点取りたいところですね」 あのね、2点差ですよ。しかも9回。しかも4番打者。 送って1点とってもまだ負けてます。むしろ送りバントで1アウトくれるなら守備は楽ですってば。1点取られてもまだ勝っている。外野だって無理に前に守る必要もないし内野もしかり。 これが10-0で負けているなら「甲子園でなんとか1点を」と、理解も出来る。7回8回ならば「まずは1点」と当然理解も出来る。打者が9番でこの後上位打線に回るというならば理解も出来る。しかし9回。しかし2点差。しかも4番打者。チームによっては“4番目の打者”ということで打順に関係なくバントをするチームもあるとはいえ、やはり9回で2点差。無死1・2塁ならば4番といえど送りバントも十分アリですが走者は1人。 好意的に理解してあげれば、「このまま普通に打っていっても無理」だから、「2塁に送って何とか1点。1点取れたなら後続にヒットも出ているだろうから何とかもう1点。たとえば1死2塁から単打で1点とっていたなら、もう一度送りバントで2塁に送って2死2塁で何とかもう1点」とかなんとかいうこともないことはない。 しかしここまで6安打とはいえ1番打者がそのうちの3本。3・5・6番が各1本。ここまで見る限り、いくら下位打線とはいえ、7番以降はおよそ甲子園に出てくるチームのそれとは思えないほど絶望的に打力がない。みたところ勝負をかけるなら5番まで。6番も1安打放っているとはいえ期待薄。 では先ほどの好意的な考えに当てはめてみる。4番が送って1死2塁。5番がヒットで1点取って1死1塁。6番が送って2死2塁で、絶望的に打力のない7番以降に期待。あとはもっとむしのいい話で、4番が送って1死2塁。5番がヒットで1死1・3塁。6番ヒットで1点取って1死1・2塁。7番送って2死2・3塁で8番に期待。とかなんとか、妄想すれば果てしなく。ま、しかしながら6番以降の打力を考えれば、"神頼みに近い期待"をするよりも、まだ4番・5番の打力に"なんとか期待"するほうが可能性ははるかに高いと思え。 1死を与えてしまうことと、スコアリングポジションに進塁させることを天秤にかける作戦でもある送りバントですが、それは以降の打順や打力、点差にもよるわけで。今回の場合はどう考えても天秤にかける必要すらまったくないわけで。「普通にやっても無理」だから4番に送りバントとさせるなら、下位打線に期待するのはもっと無理。期待するなら4・5番でしょう。 常葉側としても、4番が送りバントをしてくれれば、たとえ2塁に進塁されたとしても“4番を打ち取った”のだから、ひとつ大きな関門を通過したことにもなるわけで。2点差ならば、2塁に走者がいることでプレッシャーをかけられることもさほどなく、ほぼ打者オンリーに近い気持ちで挑めます。 解説者が「思い出づくり」をするために「1点を・・・」というならわかりますが、2点差で「思い出作り」もないでしょう。9回ということを失念していた・・・ということもないわけではない・・・と思いたいところですが、その前に本人が「9回まで来ましたけども・・・」と発言しいるわけでそれもなく。 送りバントは重要ですが、なんだか送りバントをすることが「高校野球らしくてよい」的な風潮があるのが困ったもの。考え方にもよりますが、「自分達の野球をつらぬく」的なことも大事ですが、「相手の嫌がることをやる」ことも大事ですよ。かつての箕島黄金時代のような「相手の嫌がることをやるのが自分達の野球」的なプレーをするチームが昨今あまりありません。自分達も野球をやっているわけですが、相手もやっいるわけで。状況判断が出来ないチーム・指導者が多いのがどうも気にかかる昨今でございます。 ま、旭川大高の監督は普通に4番に打たせたわけでよかったですがね。高目のストレートを思い切り叩いた打球は、3塁手正面へのゴロで併殺打にはなりましたが、当たりが強すぎて併殺打になってしまったともいえる、ヒット性の4番打者らしい打球ではありました。“高校野球らしさ”のようなことをいうのならば、むしろ当方はこちらのほうがすっきりしててよいとも思うのですがね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年08月12日 05時44分13秒
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