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あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

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粗忽のたかびー

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2023.02.12
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カテゴリ:緩和ケア
23時頃に往診、血圧も100を下回り、意識も朦朧としているが、何せ苦しそう。
診断としては癌性リンパ管症を疑う状態であり、こういう時を想定して処方しておいたモルヒネとステロイドの坐薬を投与した。
同時に病院に電話して、モルヒネの持続皮下注射を準備して貰うよう依頼した。
15分後には、呼吸、心拍ともに落ち着きだした。
Mさんの自宅から病院までは20分。持続皮下注射にはPCAポンプを使うのだが、その調整の時間を考えて一時間半後に再度往診すると約束して、病院に戻った。

2/9に日付が変わって、午前1時に再度往診し、モルヒネの持続皮下注射を開始した。Mさんもその頃には苦しそうな表情は既になく、穏やかに休んでいた。
ご両親、姉、妹も到着していた。
今後の起こりうる変化を説明し、今日、明日のどこかでお別れになるだろうことを説明した。
皆さん、涙を浮かべて聞いてくれていたなか、父親が静かに話した。「皆さんのお力で、Mは最後に親孝行、子孝行をすることが出来ました。あとは静かに見守ってあげたい。」

そして、お昼過ぎに訪問看護師から連絡があり、再度往診し、最後の診察をさせて貰った。
妻が「旅行に行けて本当に良かった。帰ってきてすぐ、ありがとうなあ、また行こうなあ、って言ってくれたんです。民宿の方たちも本当に喜んでくれたて、また来年も来てや、待ってるで、って言ってくれて。来年もまたみんなで行こうと思います。」

患者さんがその人らしく最期まで生きることを支えるのがホスピスの仕事であるが、大切な人に先立たれたそのご家族の力になることも、仕事のひとつである。





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Last updated  2023.02.12 05:55:27
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