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テーマ:在宅医療に思う(65)
カテゴリ:緩和ケア
肝細胞がんでホスピスに12/24に入院となり、1/10に退院、1/21に訪問診療に出掛けた患者Aさんの話の続き。
その次は2週間後で大丈夫だろう、ということで2/4の訪問診療枠を予約した。幸い、その2週間は何事もなく過ぎた。 2/4、診察に行くと内服がしんどくなっているとのこと。食事量も減りだいぶんと痩せてきていた。下肢筋力も低下してボータブルトイレに移ることも辛くなっていた。 オキシコドンの内服量に相当するフェンタニルテープを貼付することにし、レスキューはアブストラルという舌下薬に変更した。 診察した結果をみんなにも説明しておきますね、と本人に断って別室にて家族に話す。 おそらく残されている時間は1,2週間であり、アブストラルのレスキュー回数が増えていくようなら、マズフェンタニルテープを増量するが、それでもやがてコントロールは難しくなるだろう。そのときは持続皮下注射が良いだろうと説明した。 2/11、往診依頼があった。アブストラルを舌下に入れるだけで吐き気がするという。それも2/10から1日4回使うようになっていたとのこと。 痩せはさらに進み、今までは診察の際に欠かさず義歯を着けてくれていたが、もうグラグラで「入れ歯をしてない顔は皺くちゃなので見せられへん。」と、マスクをされていた。 排泄ももうパンツ型のオムツ、いわゆるリハビリパンツにされていた。少しの水分以外は欲しがらないとのこと。 一度、病院に戻り、持続皮下注射の準備をして再度往診した。 家族には、「おそらく頑張れても2日か3日、明日には昏睡が始まり、その後はウトウト寝て過ごすことになるだろう。その後は呼吸が半日単位で不規則に変化していき、下顎呼吸になり、お別れになるだろう。」と説明した。 そして、昨日2/14の夜21時過ぎに旅立たれた。 ご家族からは、「先生が説明されたとおりの経過でした。穏やかに見守ることが出来ました。」との言葉を頂戴した。 在宅看取りに必要なのは、家族の覚悟と医者の先々を見通した説明であることに尽きる、と思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.02.15 22:00:44
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