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テーマ:連載戯曲(216)
カテゴリ:ティアーズマーク
健三は玲子と朝食を食べている
健三 ・・・健夫は最近帰ってくるの、遅くないか? 玲子 そうですね、なんだか忙しいらしくて。 健三 俺が起きてる内には、帰ってきてないモノな。 玲子 ですね。12時はまわってますね、最近は。 健三 だよな。玲子さんは何か言ったりしないのか? 玲子 仕事だと言われたらそれまでですから・・・。 健三 まあ、そうだな・・・。母さんが生きてればなぁ、それとなく窘めることもできるんだろうが・・・俺は駄目だな。どうしても喧嘩腰になってしまって。 玲子 別にいいんですよ。お義父さんにこんなこと言うのもなんだけど、お金さえ持って帰ってきてくれれば。 健三 すまんな。不出来な奴で。 玲子 いえ、そんなコト・・・。 健三 玲子さんがいなければ、母さんもあんなに安らかには逝けなかっただろうにな。 玲子 私は特別なにもしてませんって。 健三 いや、母さんが最期までこの家に居られたのは間違いなく玲子さんのおかげだよ。俺にはよう出来ん。寝たきりになって最後はちょっとボケてきた母さんを俺は見てられなかったよ。 玲子 そう言って頂ければありがたいですけど・・・。 健三 俺のこともよろしくな。 玲子 変なコト言わないで下さいよ! 健三 いや、本当に。健夫はあてにならないし、ここで玲子さんが別れるなんて言い出したら一体どうなっちまうことやら・・・。 玲子 お義父さんは元気だから大丈夫ですよ。 健三 ま、念の為にだよ。俺が死んだら家も貯金も全部やるから、そうなった後なら好きにしてもらって構わないから。 玲子 はいはい。ところで今日は何処かに行かれるんですか? 健三 いや、特に考えてないけど、何かあるのか? 玲子 ちょっと午後から出かける用事があるので・・・。 健三 ああ、それなら気にせず行ってくればいいよ。じゃあ今日は出かけずに家にいるとしよう。 玲子 すいません。 健三 構わんよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 24, 2007 01:26:02 AM
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