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テーマ:連載戯曲(216)
カテゴリ:哀歌
第3場 約束
圭介の回想 場所は源五郎にて 2人 飲みながら 圭介 で、仕事は決まったのか? 守 いや、まだ 圭介 大丈夫かよ。 守 やっぱり駄目か? 圭介 この時期に来て、まだ就職が決まらないって、かなり危険だろ。 守 そうだよな・・・。 圭介 どのくらい受けたんだ? 守 何を? 圭介 就活したんだろ? 守 いや、してない。 圭介 は? 守 1社も受けてない。て言うか就活自体をやってない。 圭介 なんで!? 守 なんでって言われてもなあ・・・。 圭介 理由くらいあるんだろ!? 守 あるって言えばあるんだろうけど、はっきりしてないって言うか・・・。 圭介 なんだそれ。 守 圭介は決まったのかよ。 圭介 当然というように 圭介 ああ。 守 何、何処? 圭介 出版社。 守 出版かあ・・。おまえは良いよなあ。やりたいことが決まってて。 圭介 守は無いのかよ。 守 あれば苦労してない。 圭介 それが就活してない理由なのか? 守 ・・・俺たちって今まで何してきた? 圭介 は? 守 今までさあ、なんとなく生きてきたんだよね。勉強しろって言われたら勉強して、サッカーやろうって言われたらサッカーやって、みんな大学行くって言うから大学行って・・・。自分から何かやりたいから何かしようって行動が無いんだよ。 圭介 だから? 守 だから、何の仕事をしたらいいのか分からないんだよ。 圭介 いや、そんなもんだろ。 守 そうなのか? 圭介 そうだよ。仕事とやりたいことが必ずしも一致する必要ってないんじゃないか? 守 え? 圭介 そりゃ、それが一致してるほうが良いんだろうけど、そうじゃなくたって仕事をしなけりゃ生きていけないんだから、とりあえず何でも。 守 なんだ?じゃあ俺が理想を追いすぎてるって言うのか? 圭介 そこまでは言わないけど、別にやりたくないことじゃなければやりたいことに変わる可能性もあるんじゃないのかってコトだよ。 守 やりたいことに変わる・・・。 圭介 だろ?現時点では何をやりたいのか分かっていない。ってことは何にでもまだ可能性は残されているわけだ。だったらうだうだ考えずにやってみて、違ったら辞めちゃえばいいんだよ。 守 そんなもんか・・・。 圭介 そんなもんだよ。 守 ところで圭介は、いつ頃から出版の仕事に就こうと思ってたんだ?? 圭介 ・・・いつだろ?? 守 気づいたらか? 圭介 ま、そうかな。というか本当は書くほうがやりたいんだけどね。 守 小説とかってこと? 圭介 そうね。 守 ん~それも面白そうだな・・・。 圭介 大変だけどね。 守 なるほどね・・・よし!決めた! 圭介 何を? 守 俺は本を出す! 圭介 何の? 守 それは未定! 圭介 あきれたように 圭介 大丈夫かね、この人。 守 大丈夫だ。人生は長い! 圭介 そりゃそうだろーけど・・・。 守 よし!飲むぞ!親父さーん!越野寒梅!こいつのおごりで! 圭介 待て!なんで俺のおごりなんだよ! 守 くよくよすんなよ。 圭介 してない、くよくよしてない全く。心情描写が変、ってかお前の話聞いてただけだぞ。 目の前にグラスが置かれる 守 いただきまーす! 圭介 飲むな!おい! 守 なんだ、お前は飲まないのか?遠慮深い奴だ。じゃあ俺が・・。 圭介 そういうことじゃない! 守 いただきまーす。 圭介 飲む!俺も飲む!! 守 おう!飲め飲め! 圭介 飲むさ!今日は飲むぞー。 守 おまえのおごりだけどな。 圭介 ん? 守 いや。 回想シーン終了 道端に佇む二人 2人 困惑している 圭介 ・・・ここだよな。 守 多分。 圭介 ここは? 守 駐車場。 圭介 だよな、どう見ても・・・屋台にでもなったのかな・・・。 守 ・・・ 守、突然走り去る 圭介 おい、何処行くんだよ! 守 歩いてる人に声をかけている しばらくして守 戻ってくる。 圭介 守が戻ってくるのを待って 圭介 で? 守 ・・・3年前、親父さんが亡くなったそうだ。 圭介 何で!? 守 病気らしいけど。 圭介 そっか・・・。 守 だから言ったじゃんか。 圭介 ・・・そうだな、悪かった。 守 どうすんだよ、こんなトコまで来て。 圭介 すまん。 守 ・・・ま、俺も本当に無くなってるとは思わなかったけど。 圭介 ・・・ 守 落ち込んでいる圭介に気を遣うように 守 でもあれだ、今日分からなかったらこの事を知るのはもっと先になってただろうし。そう考えれば良かったのかもしれないな。 圭介 ・・・どっちが良かったんだろうな。 守 え? 圭介 源五郎が無くなってることを知らずにずっとここにあるだろうと信じ続けていつか又行きたいなって思いながら過ごすのと、もう2度と源五郎には行けないんだと認識させられるのと。 守 ・・・そりゃさ無くなったのは、悲しいけどそれを知らずに生きてくってのはさあ、嘘ではないけど嘘だよ。全部受け止めてこそ前に進めるってもんだよ。 圭介 そっか、そうだよな・・・。 圭介、そういい残すと走り去る 守 何処行くんだよ! 圭介 戻ってくる。 圭介 手にはビールを持っている 圭介 ほれ! 圭介 そう言うと守に缶ビールを投げる 守 ビールを受け取り 守 サンキュ。 圭介 ま、あれだな、俺たちにとっちゃここが源五郎であることに変わりはないんだし、目を瞑れば親父さんだって女将さんだって・・・な。 守 そうだ、場所が無くなったって、思い出が無くなるわけじゃない。 圭介 じゃあ源五郎に・・・ 二人 乾杯! 二人、缶ビールを合わせる つづく ご愛読ありがとうございます この勢いでポチっとお願いします!! ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
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Last updated
July 26, 2007 11:41:10 AM
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