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テーマ:連載戯曲(216)
カテゴリ:哀歌
第2幕 哀しみに包まれて
第6場 過去 シーン 会社前 圭介が正面入り口に立っている、そこへ美咲が出てくる 美咲 あちゃー降ってるし・・・。どうしよっかなあ・・・一番近いコンビニまでは走って2分。駅までダッシュでやっぱり2分・・・。駅に行けば傘は売ってると思う・・・けども売り切れてる可能性も大。でもコンビニなら、まあ売り切れている可能性は低い。あ~どうしよっかなあ・・・。あ、あの人も傘忘れたのかなあ・・・。そうそう、うんうん、悩むよねえ、この降り方。待ってれば止むような気もするし、強くなっていく気もする・・・。ん?どぅわ!強くなってきた!無理。ダッシュ無理。どうしよ~・・・えっ?あの人傘持ってるんじゃん!一瞬でも同士と思った私が馬鹿だった・・・。所詮人生なんてそんなものよね。知ってる、知ってる・・・はぁ~(ため息) 圭介 どうぞ。 美咲 え? 圭介 どうぞ。 美咲 でも・・・。 圭介 あ、いいの、いいの。俺ん家近いし。気象予報士に勝ったという優越感に浸るためだけに傘持ってきただけだから。 美咲 ・・・でも。 圭介 はい、どうぞ。 圭介、走り去る そこへ同僚が出てくる 美咲 あ、おつかれ。ねえあの人って誰だか分かる?・・・あの走ってる人。・・・うん・・・・フリーライターの吉岡圭介・・・。 シーン 圭介の部屋 圭介の部屋の前でネームプレートを見ている美咲 美咲 ここだ・・・。 ドアベルを鳴らす美咲 守 はーい。 美咲 え?えっと吉岡さんの・・・。 守 あ、圭介?圭介は病院ですけど・・・。 美咲 病院? 守 はい、なんかこの前、雨に打たれて風邪ひいたみたいで。 美咲 雨に・・・? 守 そう、傘持っていったのに何だか貸しただか無くしただかで、ずぶぬれ。 美咲 そうだったんですか・・・。 守 えっと・・・どのようなご用件ですか? 美咲 多分・・・その時、傘を貸してもらった者なんですけど・・・。 守 ええ!!しずかちゃん!? 美咲 いえ、違いますけど・・・ 守 じゃあ何!? 美咲 美咲ですけど・・・。 守 美咲ちゃんね、美咲ちゃん・・・しずかちゃん、みさきちゃん。同じ同じ。 美咲 はあ。 守 何だ、そうだったんだ、早く言ってよ。まあ、どうぞどうぞ。 美咲 玄関で立ち止まっている 美咲 いえ、とりあえず傘を返しにきただけなので、今日はこれで・・・。 守 それはまずい。 美咲 え? 守 それは非常にまずい。 美咲 なんでですか? 守 まあまあ、とりあえず上がって。圭介もすぐ戻ってくるから。出掛けたのも3時間くらい前だし、もしかすると5分くらいで戻ってくるかもしれない。 美咲 はあ、それじゃあ・・・。 部屋へと入ってくる美咲 守 あ、その辺に適当に座ってて。 美咲 はい・・・。 美咲が座った向かい側に守 座る 守 はちらちらと美咲を見ている 美咲 その様子が気になってはいるがあえて向かないでいるが、そのうち耐えられなくなる 2人 あの~! 美咲 え? 守 あ、どうぞ。 美咲 いえ、特に私は・・・何ですか? 守 いや、多分気のせいだと思うんだけど・・・ 美咲 何ですか? 守 ・・・何処かであったことありませんでしたっけ? 美咲 いえ。 守 ですよねえ・・・。 美咲 はい。 守 待てよ?仕事であったのかも・・・ちょっと待って。 守 そういうと眼鏡を取り出し、かける 守 俺ねえ、仕事のときは眼鏡かけてるの。伊達なんだけどね。 美咲 そうなんですか・・・。 守 どうだろうか?基本的に一度会ったことがある人は忘れないから何処かであったことがあると思うんだけど・・・。 美咲 じっと守を見つめる 守 ちょっと待って!左向いて、左。なんかその顔の向きでさあ・・・ つづく やる気変動アイテム使用中!!クリック1つでタッチスピードが変わる!? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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