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テーマ:連載戯曲(216)
カテゴリ:どん・きほーて
桐子 ・・・で、それが私だったんだ・・・。
おっさん ・・・ 桐子 ん? おっさん ・・・ 桐子 何? おっさん ・・・ 桐子 なんで、沈黙なの? おっさん どうだろ? 桐子 何が? おっさん そもそも、夢というもの自体、そんなにはっきりと覚えていられるモノじゃないから・・・。 桐子 じゃあ、何で私だと思ったの? おっさん 雰囲気? 桐子 雰囲気・・・って何? おっさん ほら、この辺にモヤモヤーっと出てて、美輪さんとかには見える奴。 おっさん 背中の上あたりを指しながら答える 桐子 まあ、何でも良いけど、それが私と同じだったんだ。 おっさん ・・・いや。 桐子 は? おっさん ほら、俺の夢って白黒だからさ・・・。 桐子 ほらって言われても知らないわよ、私には。じゃあ、なんで私だと思ったのよ! おっさん ・・・えっとだな・・・。俺は今言ったような夢を見たので、会社も辞めて、この運命の人を探そうツアーへの参加を決めたんだけども・・・。 桐子 会社辞めたの? おっさん え?ああ。 桐子 なんで? おっさん ウチの会社は土木系だから、出会いが全くないんだよ・・・。 桐子 そんな理由で!? おっさん ・・・君はねえ、常に周りに男がいるから、そんなコトが言えるんだ。全くいないんだぞ!事務員さんは社長の奥さんだし・・・奥さんって言っても若ければ、なんとか目の保養・・・なんてコトにもなるかもしれないけど、もういい歳だし。そんな環境にずっといてみろ、発狂するぞ! 桐子 ま、まあ、そうかもしれなわね・・・。 おっさん だろ?だから、俺は旅に出た!会社も辞めて!こぞうも連れて!! 桐子 なんで・・・そのこぞうって言う人は連れてきたの? おっさん ・・・寂しいから? 桐子 そんな理由で!? おっさん しょうがないだろ!?いつ終わるとも知れない旅路を1人で過ごせと?この上、男友達もいなくなったら俺は寂しくて死ぬぞ!! おっさん 大げさにうなだれる 桐子 大丈夫よ・・・うさぎは寂しくても死なないから。 おっさん え!?死なないの!? 桐子 ええ、死なない。 おっさん そうだったのか・・・。まぁ・・・そうは言っても俺もちょっとだけ悪いなって思ってるんだ、ぼうずにはさ。俺のわがままに付き合わせてるわけだから・・・。 桐子 本当にそうね。災難だわ。よく断らないわね。 おっさん ああ、抱えて連れてきたから。 桐子 拉致!? おっさん ・・・まあ、そういった事情もあって、いつ終わるとも知れない旅ではあるんだけど、少しでも早く終わらせたいっていう親心もあるんだよ。 桐子 色々、突っ込み所はあるけど、黙っててあげるわ。よく分かるから、その気持ち。 おっさん だろ?だから君を見たときに、運命の人だ!っと・・・。 桐子 言っちゃったの? おっさん ほら、雰囲気は似てたしね。 桐子 白黒だったのにね。 おっさん モヤモヤーの出方とかさ。 桐子 で、言っちゃったんだ。 おっさん あ、ああ・・・。 桐子 じゃあ、私じゃないんだ。 おっさん んー違うとは言い切れない・・・ 桐子 けど、そうだという確証もない、と。 おっさん まあ・・・。 桐子 じゃあ、勘違いってことで。 おっさん ええ!! 桐子 何? おっさん だって・・・。 桐子 大丈夫よ。 おっさん え? 桐子 この先、何年経っても私が、あなたを好きになることはないから。 おっさん ええ!!? 桐子 ってコトは、私は運命の人じゃないってコトよ。 おっさん ・・・なんで? 桐子 だって運命の人だよ!会った瞬間に、お互い気付くでしょ? おっさん そういうもの? 桐子 だって、運命の人だよ!! おっさん そっか・・・ 桐子 あなただって、別に私を見たとき何も感じなかったでしょ? おっさん いや・・・ 桐子 感じなかったでしょ!? おっさん たじろぐ おっさん あ、ああ・・・。 儚く散った…… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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