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テーマ:連載戯曲(216)
カテゴリ:どん・きほーて
廉治 何処?
和人 ほら、ココ!赤くなってるだろ!? 廉治 なんで、刺したトコが赤くなったくらいで済むんだ? 和人 それは、刺そうと思ったけどナイフが横にそれたからだ! 廉治 ど真ん中を刺せば、それないだろ?それるってのは、元々おまえが刺す気が無かったっていう証拠なんだよ! 和人 それは・・・ 廉治 そんな根性無にウチの娘はやれん! 桐子 私を物みたいに言わないでよ!私は私なんだから! 廉治 何言ってやがんだ。ここまで、俺が育てたんだぞ!俺のモンだって言って何が悪い!産まれてからずっとだぞ!おまえはあるのか?20年以上も続けてる事! 桐子 25年しか生きてないのに、20年以上も続けてることなんかあるわけ無いでしょ!? 廉治 とにかく、こんな奴のトコに嫁に行くことなんかは絶対に許さん! 雅史 入ってくる 雅史 おはようございますー。すいません、夕べは母が帰ってしまって…… 廉治 おお、雅史君おはよう。いや、こっちこそ、すまなかったね。この馬鹿娘が約束を忘れるモンだから。 雅史 いえいえ、ボクが確認しなかったのもいけなかったんですよ。 廉治 やさしいねえ、雅史君は。 雅史 和人に気付く 雅史 あれ?君は・・・夕べの・・・誘拐犯!! 和人 誰が誘拐犯だよ! 雅史 生きてたんだ、良かったねえ・・・てっきり死んだものだとばかり・・・。 和人 あのくらいじゃ死なねえよ! 廉治 そりゃそうだろうな、ナイフがかすって死ぬ奴はいないわな。 雅史 え?かすった? 廉治 そうだよ。刺してなかったんだよ。 雅史 あ、そうだったんだ・・・道理で。そうだよねえ、そうじゃなかったら今ココにいるはずないもんねえ。 廉治 そうそう。 和人 何も言えず立ち尽くす 桐子 黙って和人を見ている 雅史 で、なんでここにいるの? 和人 それは、桐子を助けるためだ! 雅史 助けるって、何から? 和人 おまえたちからに決まってるだろ!?無理矢理結婚させようとしやがって! 雅史 無理矢理?ボクがいつ無理矢理結婚しようとした? 和人 現に桐子は嫌がってるじゃないか? 雅史 でも僕たちはお見合いもしたし、お父さんだって認めて下さっている。 和人 ・・・お見合い? 雅史 ああ。お見合いっていうのは、普通結婚をするためにするものじゃないのか? 和人 桐子、おまえお見合いなんかしたのか? 桐子 あれは・・・うん・・・。 桐子 頷く 和人 何で・・・俺は聞いてないぞ! 桐子 私も知らなかったのよ!行ってみたら、みんないて・・・でも、ちゃんと断ったわよ! 廉治 ちゃんとお受けしたぞ。 桐子 ここからおかしくなったのよ! 雅史 なんにせよ、ボクは正当な手順を踏んで結婚にまで漕ぎつけたんだ。非難される言われは無いと思うけどな。 和人 でも、桐子は断ったっていうし、嫌がってるんだぞ! 雅史 いい?結婚って言うのは当人同士だけが良くても駄目なんだ。2つの家族が1つになるんだから。つまり、結婚する二人とお互いの家族の問題って事さ。ボクの家族はこの結婚を賛成してくれているし、桐子さんのお父さんも賛成してくれている。もちろんボクも結婚したいと思ってる。反対しているのは桐子さんだけだ。 和人 大問題だろ! 雅史 いいか?もし君が桐子さんと結婚しようとしたとする。するとお父さんは? 廉治 反対だ!認めん!! 雅史 ほら、状況は一緒だろ? 和人 結婚する当人が嫌だって言ってるんだぞ!大違いじゃないか! 雅史 分かんない奴だなあ。だから言っただろ?当人同士だけの問題じゃないって!大体、こっちはもう結婚に向けて式場も借りたし結婚後の新居になる、この旅館の改装の資金も援助してるんだ!君は何をした?何もしてないだろ? 和人 どうせ、親の金だろ?偉そうに語るなよ!・・・式場を借りた? 雅史 ああ。 和人 もう、そんなに話が進んでるのか!? 和人 桐子の方を睨む 桐子 私もさっき聞いて知ったの!・・・え!?式場!?それは聞いてない! 和人 もういい!桐子行こう!こんな奴らと話しても時間の無駄だ! 雅史 だから言ってるだろ?君がどんなに喚いたところで話は、もう動き始めてるんだ。止まらないよ。 和人 動き始めてるだと!?勝手に押して動かしてるだけじゃないか!手を離したらまた止まっちまうから2人して必死に押してるだけだろ!? つづく 和人は果たして準備したのだろうか……? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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