「天国までの百マイル」 浅田 次郎
自分の会社をつぶして、別れた妻子への仕送りだけで精一杯の主人公が、母の心臓病を治すために100マイルの道を名医をたずねて行く物語。年老いた親とその介護、本当の親の愛情、今の日本で大きな問題となっている2つのテーマが中心。物語としては、あまりにも理想的な母親と物分りの良すぎる同棲相手は出来すぎのような気がする。ただし母親の親としての考え方には共感できる事が多いし、誰にでも必ず陰で支えてくれた人がいて、そういった相手ほど支えられている本人からは見えないという点も共感できた。自分以外の誰かを大切に思うという事がどういう事かを改めて考えさせられる一冊。親の事を忘れ去るほど子供が忙しく自立しているという事は、子を思う親にとって幸せな事・・・なんとなくこの一文が心に残った。おすすめする方 :自立している方おすすめしない方:出来すぎな感じがする物語が苦手な方5段階評価:★★★★