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中国との断交を貫き、台湾を国家として認証し国交を続ける巨大国家が欧州には存在します。
総面積は東京ディズニーランドほど。しかし人口約12億人を抱え、2000年に渡る継続した歴史を誇る最大宗教カトリックの総本山、ヴァチカン市国です。 昨今ヴァチカンは、一部の堕落した聖職者によるスキャンダルにまみれ、禁欲を貫くことを教義とするカトリック聖職者のイメージを失墜させ、増加の一方であるイスラム教人口の脅威にさらされております。 しかしここに来て、高齢と体調不良を理由にした前法王様の引退と新法王様の誕生は、守りに入っていたヴァチカンの姿勢が変わったという印象を受けました。 中国とヴァチカンの因縁はとても根深いものです。 中国共産党のカトリック弾圧は、昨今のチベット仏教弾圧と同じほど苛烈で、幾人ものカトリック神父が行方不明となりました。そのためヴァチカンは北京にあった支部を台湾へ移し、中国とは断交し、今に至るのです。今では中国共産党はヴァチカンの許可無しにカトリック教会を独自に作り上げ、愛国教会と呼んでおります。 中国の国力が世界へ与える影響が最大限に膨れ上がった年、世界経済の希望を中国に託そうと幾多もの諸国がかん違いした2005年から北京五輪の年、ヴァチカンすらも中国に柔軟な姿勢を見せたことがありました。しかし北京五輪が開かれた2008年をピークに中国の影響力は下がり始め、世界が中国の経済力がハリボテだったと知った今は、ただその軍事主義的な側面のみが際立っております。 国内の不満分子をなだめるために、対外攻勢を強めている中国ですが、それが逆に中国の国際的立場を失墜させる一因となっております。 2005年辺りから、カトリックの信者数が減り続けていることに悩むヴァチカンは、中国との対話を望んでおりました。しかしヴァチカンは、西側諸国の中で唯一、台湾を国家として認め、国交を続けている国です。今回新しい法王様が誕生した際に、中国はヴァチカンに内政干渉にも当たる圧力をかけたのです。台湾との国交を、断交するようにと。 個人的に、これにはとても驚かされました。 中国はここまで外交下手だったでしょうか? ヴァチカンは国家規模としては小さいですが、影響力は世界一です。人口(信者)の数も、12億人で、13億人の中国の人口と比べても少なくはありません。アメリカですらも、ヴァチカンの持つ影響力には敵わないくらいです。 ヴァチカンの姿勢が中国に対して柔軟なのは、決して弱いからではありません。あくまでも宣教が目的だからです。ヴァチカンを攻撃すれば、どれほどの国が敵に回るのか考えるだけでも恐ろしいです。 どう見ても反感しか生まないような、真正面からヴァチカンに内政干渉した今の中国は、超大国をまとめて世界とぶつかり合うだけの人材が、極端に不足しているのではないかという印象を持ちました。 中国という存在は、ヴァチカンにとって長い間の不穏分子でした。カトリックへの弾圧を続けるだけではなく、ウイグル地区のイスラム教徒、チベット地区のチベット仏教徒、更に気功を通じた思想の法輪功など、共産主義という大義名分を掲げた帝国主義を脅かす存在を、徹底的に排除してきました。その結果、道徳心の伴わない究極の資本主義国家に変貌したのです。内需の空洞化を埋め合わせるために国費を湯水のように注ぎ、対外体裁を整える砂上の城状態の帝国主義の土台がゆっくりと揺らいでいる今、弾圧を緩めることはないでしょう。 中国による宗教弾圧も、経済の不透明さも、人権蹂躙も、どれほど言論統制を敷こうと、世界をつなげるネットによって世界中に情報は広がり、核兵器を持った中国との戦争回避のため正面対立を避ける各国政府とは異なり、一般市民レベルでは中国に対しての嫌悪が高まり続けているのが現状です。 ヴァチカンにとってむしろ、中国との歩み寄りよりも断固とした拒絶姿勢が、世界に向けてのアピールになるのではないでしょうか。 台湾をあくまでも国家として認識し国交をするヴァチカンの姿勢が、台湾を守り続けていた一因でもあると思うのです。 台湾が国家として認識されなくなってしばらく経ちますが、ひょっとすると今の流れの先には、ヴァチカンがきっかけとなり、台湾との関係が最良好な日本も関わり、台湾が再び国家として国際社会に復帰するのも、そう先の未来ではないのではないかと思いました。 台湾に代わり中国が国家として国際社会に現れたのは冷戦期。しかし冷戦時代は終わりを告げ、世界情勢もパワーバランスも当時とは全く異なっています。 今までの常識が覆されていくであろう今後の世界情勢、不安よりもどこか期待を寄せてしまっております。 願わくば、軍事衝突は回避されますように。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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