東方の風と海：　アキラ　オンライン

紅海で潜ったあの時、海の上はこんな風であった。

この座礁した船の下の海の中では、白砂の海底に長く長く珊瑚礁が続き、その半ばに二ヶ所ほどそれが途切れているところがある。スモール・クラックと呼ばれる。

外洋の側から潜降し、そのクラックを通って珊瑚礁を横切り白砂の上を潮の流れに身を任せ、

時にフィンを使って制動をかけながら漂って行けば、辺りはただ見事な珊瑚が連なるのを眺めることになる。

その中で眼があってしまった連中もあれこれといたのだ。

また当然群れなすものもいるのであり、

そしてそう云う時の常として、ひとり違った事をやっている奴もいる。わが身を見るようであるな。

この静謐かつ豊饒なる海。

浮上してみれば、黄昏が覆いだすにはまだしばらくありそうな時分であった。

この旅も終わりに近づいて。






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