『地産地消』で持続可能なまちづくり!
埼玉エコ・リサイクル連絡会主催市民と行政がともに学ぶエコ・リサイクル交流集会2020が開催されました。「省エネ」と「ごみを発生させない生活」を基本に、エネルギーも自分たちで作る出す時代になりました。また、国連の定めた17の目標「SDGs」の達成に向け、残る10年をどう取組みをすすめていくか、市民・行政・企業の事例をお聞きし、共に地球存亡の危機に立ち向かっていきたいと企画しました。「われらの目指す未来!SDGsで叶える未来!」グリーンピープルズパワー(株)取締役 大島浩司さん大島さんは、ソニーに勤務していた時、特にイベント制作をしていた時に、たくさん出るゴミに非常に困惑したそうです。ごみについてとやかく言うことは評価されない時代で、会社からは喜ばれない存在だったそうですが、ISOやCSRなどを任されるようになりました。会社で担当してきた時に感じることは、担当者だけが一生懸命で、多くの方はやらないということ。「笛吹けば踊らず」状態。グリーンピープルズパワーは、東京電力管内の家庭向けに電力を供給してくれます。市民電力や一般家庭の太陽光などを調達先とし、100%再生可能エネルギーでの供給となっています。供給元の1つにもなる所沢市民ソーラーが2019年に690万円で山宇農園に総出力37kwのソーラーシェアリングを開所しました。EGパワーも供給元ですが、そこによると、一般的にFIT売電価格がさらに下がり14円になったとしても、49.5kwの収入は約75万円。設置コストが約600万円なら、11年で回収ができるそうです。FITが終了しても、発電はさらに10年以上継続でき、新電力等に売れるということです。(ちなみに第3者が他人の農地に発電所を設置する場合は、地代、空中権賃貸料、管理費などが発生します。)エシカル消費が大切で、パタゴニアやアバンティという企業を紹介し、それらの企業のものを買うことで支えるのと同様に、再生可能エネルギー100%の電気を選ぶことで社会を変えようと呼びかけます。私たちが生活の中でミートフリーにしたり、公共交通を選択するように、エシカル電気を選ぼうと。CO2排出ゼロにするため、回収し固着する技術CCSや、ブルーカーボン(海草)を海で育てる方法、ダイヤモンドのようにCO2を固形にする技術も生まれていることなどをご紹介されました。企業に対しては、RE100(再生可能エネルギー100)を目指す企業が、世界では132社の企業(2018.5月現在)あるのに対し、日本は25社のみです。もっと意識を高めないといけないと言います。自治体や市民に対しては、各自治体で「気候非常事態宣言」を発令し、市民に正しい危機感を伝える必要があることも付け加えました。 「SDGs事始め~みんな初めは初心者だから~」来ハトメ工業(株) ISO9001&EA21管理責任者 石原隆雅さん 来ハトメ工業ではアルミ電解コンデンサ用のケースや香水瓶のスプレー部などをつくっているいわゆる中小企業です。①電気をプレミアムグリーンパワー(調整後排出係数0)へ切り替え、97%の二酸化炭素の削減②冷却装置を変えて水の使用量の67%を削減③グリーン調達率を27ポイントアップなど成果をだし、中小企業だからと言って臆することなく、様々な場に積極的に参加していき、たくさんの賞も受賞してきています。環境大臣賞では殿堂入りを果たし、目的がなくなってしまったと半分冗談でしょうが、話されました。自主性重視し、徹底した、丁寧な環境教育で人づくりも評価されています。SDGsに対する取り組みは、2017年環境コミュニケーション大賞表彰式で初めて聞き、まだ中小企業でやっていないから、今やれば注目を浴びられる…と血気盛んに帰ったが、何もやれない中、環境コミュニケーション大賞のチラシ作成のためのインタビューがあり「今後の目標は?」と聞かれ「SDGsに取り組みたいです‼」と。「ぜひ中小企業者のモデルに!」と。後戻りできない状況に追い込みながらの取組みだったそうです。 自社分析としては ・環境活動歴8年 社員全員耐性あり・典型的な中小企業で専門家なし、低コストで・外国人が4割いるので、丁寧な説明が必須 2017.9月 社内でSDGsのキックオフミーティングを。SDGs練習プログラムとして、全従業員に「私のSDGs」経済・社会・環境関連の各自の目標を設定してもらいました。これを事務局で17に紐づけし、「○○さんのSDGs」として、自分目線のSDGsを認識してもらいました。「使いこなすために」英語版も作ります。全員の分を環境掲示板に掲載。その半年後、振り返りを行う。10点満点で回答させ、みな真面目に答えてくれたそうです。ベストオブSDGsはフィリピン出身の方。決め手は「家族みんなで一緒に頑張る」という決意でした。従業員では34人ですが、家族入れれば100,200人の活動になります。 企業としては事業をすべて紐づけするところから始めました。ファイルにSDGs目標ナンバーを付け、紐づけ事業を明確にしました。それをデーターリングし、取り組みの偏りを一目瞭然にします。月間「まいにちSDGs」で情報誌をだし、環境報告書もSDGs版に変えました。現在、新たな取り組みを目論見中ですが、次回の報告のお楽しみにしたいということでした。「埼玉エコタウンプロジェクト~重点実施街区「所沢市松ヶ丘」の取組み」所沢市環境クリーン部環境政策課 主任 大館徹さん埼玉エコタウンプロジェクトは平成24~26年に東松山・本庄で、平成27~29年に草加・所沢で取り組まれました。所沢ではモデル地区での補助制度によるスマートハウス化を推進しました。モデル地区の松ヶ丘は平均築年数が22年の割と高級住宅地で1,381戸のまちです。補助金をつけることによる自発的な取組み、既存住宅における集中的なスマートハウス化を目指しました。創エネ、省エネ、地区エネ機器等の設置導入の費用を県の補助金4分の1に市からも奨励金を交付し促進を図りました。太陽光発電とエネファームに関してはダブル給付もOKとしました。1250件の目標を立てましたが、実際は3年間で641件という結果ではありました。周辺の公共施設にも、フロートソーラー所沢の設置、公園灯のLED化、電気自動車普及のために9台を配備し、市民、事業者、自治会、大学などに貸出し、イベントでの試乗など推進を図りました。蓄電池実証実験では災害時の電源確保とというレジリエンス強化の1つのモデルともなりました。住民の意識調査によると、もともと意識の高かった住民たちですが、さらに72%な方々が環境配慮の意識が高まり、実践する方も49%。行動の変化は、機器の省エネ機能を使ったり、光熱費の使用量を気にかけたり、こまめな消灯・水止・プラグ抜きなど、日常の生活の中で取り組まれるようになりました。これから、エコタウン化の経済効果や住民の意識変化についてはさらに県がまとめをし公表されるそうです。楽しみです。「E-KIZUNA Projectにおける本田技研工業(株)との取組について」さいたま市未来都市推進部 主事 石黒達紀さん「環境局」から市長直属の「未来都市推進部」に移ったという、市長の意気込みが見られます。当プロジェクトは「環境」、「持続可能な社会」への取組みとして、2009年から取り組んでいました。2011年、東日本大震災で計画停電などの経験から、経済的な側面でのレジリエンスが重要と考え、「環境」・「経済」・「社会」の3つの柱を掲げ、2015年からスマートシティさいたまモデルを浦和美園地区で取り組み始めました。埼玉県下で未来都市として宣言しました。運輸部門では、乗用車からの二酸化炭素が多い街としてのデーターもあり、本田との提携を結び、テコ入れを図ることに。電気自動車は1回の充電で走行距離が短い、車両価格が高い、消費者にあまり知られていないという3つの課題がありました。①充電セーフティネットの構築 急速充電器69台 一般充電器212台 設置場所152ヵ所 水素ステーション4カ所②需要創出とインセンティブの付与 公用車、次世代自動車導入100%(PV477台、水素40台)他 EVバイクのレンタル EVタクシー専用乗り場 EVカーシェア などの取組み③地域密着型の啓発活動サッカースタジアム、駅周辺、区役所、小学校などで水素自動車、EVの展示これらの課題解決をステークホルダーと連携して取り組みました。それがE-KIZUNA Project です。2009年の日産自動車から始まり、2018年までに9企業(日産自動車、富士重工業、三菱自動車工業、本田技研、トヨタ自動車、イオンリテール、三井不動産リアルティ、ヤマハ自動車 東京電力EP)と協定を結び、EV普及と広域的な都市間ネットワークを築きます。本田技研とは、災害に強い環境未来都市の実現を重点連携項目としています。①多様な電動車両の確保 新しいモデル②地産地消を目指した自立可能なホーム・コミュニティ③災害時にも対応できるくらしのエネルギー供給システムを検討し、低炭素型モビリティの導入、V2H(家屋への電力供給)システムの設置、水素ステーション、スマートホームシステム、小学校への災害用蓄電池の設置など、取り組みがされています。展示コーナー