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テーマ:一枚の絵(255)
カテゴリ:詩
『ベクシンスキーの絵のように…(4)』 . . . 立ち並ぶ巨人兵の如き修道僧 その岸壁に挟まれて 独り男が心細げな松明を片手に 潜り抜けようとしている… . この畏怖漂わせる聖者の参道を進むは勇者 幾億幾千年の時を超えて繋ぐもの . . . 暗く陰鬱とした領域に 足を踏み入れた若者は 引き戻せないことを知っている . そしてこの世界の印象とは裏腹に 不安を感じてはいない . . . 恐れることそのものが 敗北であることを 理解しているからだ . . 行く手を拒むその道にこそ 求めるものの鍵が 隠されていることに 気づいている . . . 巨僧をひとり またひとりと過ぎさるたびに 彼には真実を解き明かす 条件というものが整ってくる . この時いぶかしむ巨僧をひとりの頭が 溜まらずにして傾げ この若者を眺め下す . . 「越えおった…」 . . 小さきながら、低く轟いたその声は 風となり、彼を追いかけ、松明をかすかに揺らす . . もう一人の巨僧は餌をぶら下げている 若者は見向きもせず、気にも留めない . . 一際威圧感を発する巨僧の前 その威張り腐った佇まいが この世界を作り、凍り付かせている . 彼らは死の世界から遣わされ 防いでいる . . その先の世界に、彼ら自身は 入ることを許されいるわけではない . . ここでもう一人の巨僧が静かに祈りを始める 自然と胸の前に出た手は 若者が進むことを拒絶せず むしろ見守っている . 下界から偉人が現れたのだ . . . この巨僧たちの一族から 死神が地上に遣わされていることに気付くと 山門は近いのだと知る . . . . . Eili...
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最終更新日
2021年10月17日 14時26分51秒
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