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スポーツを極めるというのは本当に一部の人間でしかやり遂げることしかできない。極めるということがどこまでのレベルなのかは定義することができないが、その種目のトップの位置を不動のものとし、技術もさることながら精神的にも強い選手のことを言うと考えている。野球で言えば、イチローや野茂、松井秀らの名前が挙がるだろう。

しかし、プロのレベルまではまだ達していない、又は学生の頃や一般のスポーツ愛好者の中でも極めたいと思っている人はたくさんいるだろう。ここでは、その極めるということがそのスポーツを行う自身のレベルの到達点であるかもしれないし、そのスポーツで素晴らしい結果やパフォーマンスを出すことかもしれない。

私も現役時代は野球を極めたいという気持ちで練習に打ち込んでいた。私の場合は、自分の納得できるレベルまでは達することができなかった。それには、ケガやそれ以外の様々な原因があったが、今ではその時の練習の日々が懐かしい。

今、野球部の監督として選手を見ていると、そのような極めたいという選手が少ないように感じる。それは私達のチームの話であるが、全国レベルのチームでもなければ、どちらかというと弱小チームである私達のチームの特徴かもしれないが、それでも寂しい。誰でも、スポーツをやっていれば試合には勝ちたいものであり、それを目標として練習をしている。もちろん、中には試合に参加することが目標である人もいるかもしれないが、私達は大学の運動部活動であり、試合に参加することが目標ではなく、試合に勝つことが目標である。

現役時代の私が凄い選手だったわけではなく、際立った結果を残してきたわけではない。それでも、自分の限界に挑戦し、人より考えて練習をしてきた自負はある。弱小チームの中で常にスタメンで出場し、チームの力を担ってきた自信はある。今でも、そのことは私の誇りであり、弱くても戦う姿勢は誰にも負けないと思っている。そのことを選手たちに自慢するつもりはないし、強要するわけでもない。だが、野球を極めたいという気持ちを持ち、練習の中で試合でベストのパフォーマンスを出し、さらに戦う姿勢を持ってほしい。

日本は武士道という文化がある。節制と修練が美徳であり、常に努力し、信念を持つ。素晴らしい文化であり、精神であると思う。武士道精神を持ち、行動して欲しいとは思わないが、少なくとも武士道に見習う部分は大いにあると思う。私は沖縄生まれで、その武士道精神は内地の人ほどはないかもしれない。しかし、今の時代は沖縄も内地の人もほとんど変わらないと思うし、変わるのは郷土愛くらいではないだろうか。

私も含めて、今の若者はどこか臆病であると感じる。人前で自分の意見を述べる、人とは違う自分の個性を表現する、さらには自分のやりたいことを追求する。自分が生きている証を実感していない観がどこかあるのではないか。自分のやりたいことを全うするオタクやマニアの人たちの方がよっぽど度胸がある気がする。自分の人生、今できること、したいことを極めたいという気持ちを持ち、集団の中で自分の存在意義を見出して欲しいし、私もそうしていきたい。