久しぶりに「シンドラーのリスト」を改めて見ました。
【Best Collection】 シンドラーのリスト スペシャル・エディション(初回仕様)(DVD) ◆25%OFF!
以前見たのはロードショーで。
モノクロ画面とはいえ、あまりにも悲惨なホロコースト(ユダヤ人虐殺)の光景
(しかもそれは事実行われていた)に目を覆いたくなり
隣で見ていたダーリンの腕をぎゅぎゅぎゅっとつかんだ記憶があります
スティーブン・スピルバーグ監督、アカデミー作品賞、監督賞等賞を総なめにした
いまさら言うまでもない大作。
今回、テレビ画面でこの3時間余りの作品を再見しました。
静かなモノクロ映画の中に込められたそのメッセージはいかようにも取れるでしょう。
戦争の愚かさ、その戦争に翻弄され狂っていく
元は普通の人だったに違いない兵士たち、
何の罪も犯していないのに持ち物を剥ぎ取られ、衰弱し、虐殺されていく人たち。
そして、元はそれほど変わらない「人間」だったのに
ある分岐点から「人の命を救うことに全てをかける善人(シンドラー)」、
あるいは「殺戮を繰り返し極刑という最後を迎える狂気の人(アーモン)」に
なってしまう二人の男。
オスカー・シンドラーは、初め自分の利益の為に、無償で雇える労働力として
ユダヤ人捕虜たちを使い始めた。
だが結果としてそのユダヤ人たちは食べるもの
「生きていける(殺されずに済む)」場所を確保することが出来
シンドラーのことを自分たちの救い主として感謝するようになる。
女遊びと享楽的な生活を好むシンドラーは初めそんな成り行きに当惑するが
やがて、加速度を増していくユダヤ人虐殺の現実を見るにつけ
彼の中で、その目的意識が変わっていく。
そして彼は「忠実なナチス党員で、ユダヤ人を労働力として使っているだけ」の
ドイツ人の顔をしながら
私財を投げ打ってまでもユダヤ人捕虜たちを救おうと尽力するようになるのです。
印象的な場面はほんとにたくさんあります。
中でもとても有名なのは、「赤い服の少女」のシーン。
シンドラーが遠景からユダヤ人捕虜たちが捉えられ虐殺されていくのを見ている。
モノクロの画面にたった一人、赤い服を着た少女が見える。
少女は必死で姿を隠す。
だけどその赤い服の少女は、その後で無残な死体の山の一部となって
私たちの目の前に映る。
逃げられなかった赤い服の少女。
私たちと同様に、いやそれ以上に無念な思いがシンドラーの胸を貫いたに違いない。
黒澤明の映画の手法の影響を受けたというこのシーンは、さすがスピルバーグ。
それから、他にもたくさんあるけれど
やはり最後の数十分が素晴らしい。
戦争が終わり(ドイツにとっては敗戦)、「戦犯」となって追われる運命のシンドラーが
ユダヤ人労働者たちに語りかける。
そしてドイツ人兵士たちにも。
「今我々(ユダヤ人たち)を虐殺するのは簡単だが
人間として自分の家に帰ることも出来る
(意味はこんな感じですが 正確なセリフではありません、すみません)」つまり君たちの良心次第だ、と。
その言葉に銃をおろし、無言でバラバラとその場を去っていく兵士たち。
「戦犯」としてひっそりと去ろうとするシンドラーに
ユダヤ人労働者たちは自分たちの唯一の財産
「金歯」を溶かして 急いで作った指輪を贈る。
その指輪には「たった一人の命を救う者は全世界を救う」という
タルムード(ユダヤ経典)の言葉が刻まれていた。
それでも「もっとたくさんの命が救えたのに。この胸のバッジ(金で出来ている)を
交換しただけでも一人、 いや二人の命が救えたのに。
この車を交換すれば・・・10人救えたのに、私はそうしようとしなかった」と
泣き崩れるシンドラー。
そんなシンドラーを優しく静かに見送るユダヤ人たち。
「あなたは1000人救ったじゃないですか」
・・・なんだかとっても長くなってしまいました。しかも見たの2度目なのに(汗)。
でも、これが実話だということが、何よりも私たちの胸に迫ってくるんだと思います。
そして、もちろん他にもこの時代を扱った素晴らしい映画はたくさんあるのだけれど
メジャーなハリウッド監督が作った、しかもアカデミー賞を総なめにした、っていうところで 「食わず嫌い」な人たちにも見ようという気持ちを起こさせることが出来る、
そういう意味でも意味のある映画なのではないかしら。
シンドラー役のリアム・ニーソン、秘書のユダヤ人イシュタール役のベン・キングズレー、
狂気のナチス将校アーモン役のレイフ・ファインズ、
いずれ劣らぬ名演です。
**************************************
映画をもう一本。
あの時代、同じように命をかけて「狂気の時代」に抵抗しようとしたドイツ人の
実在の少女の物語。
「白バラの祈り ゾフィー・ショル 最期の日々」
【20%OFF!】白バラの祈り-ゾフィー・ショル、最期の日々-(DVD)
こちらはメジャーではありませんが素晴らしい映画です。
見ていてとても辛いですが、後世に残る作品だと思います。
この「白バラ」と呼ばれる少女「ゾフィー・ショル」(たった21歳でナチスに処刑された)の 名前も語り継いでいってほしいと思います。
最初のシーンでは、ラジオでジャズの音楽を聴いている、ただの可愛い女子大生に見えます。
けれど彼女は兄たちと一緒に半ナチス運動に加わっていた。
彼女がやがて極刑に処されることになるまでの監獄の中での緊迫感に満ちたドラマです。
最後に実在の彼らの写真が映し出されるところで
私は涙が止まらなくなってしまいました。
観ていて辛いところも多いですが、
あの時代の悲劇を忘れないためにも、
そして今の時代でも大事普遍的なものを学ぶために
観ておいたほうがいい映画の一本かもしれません。
もしゾフィーが生き残れていたら
きっと素晴らしいレディーになって
歴史に残るような事をしてくれたかも…。
悲しい実話です