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クラシック音楽リスナーの局(tsubone)

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March 5, 2006
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モーツァルトもたくさんの曲を書いていて,好きな曲がたくさんありますが,それにも輪をかけて多数多ジャンルの曲を書き,好きな曲もたくさんなのが,J.S.バッハとそのファミリーの曲です.

そんなJ.S.バッハの名曲のひとつに,無伴奏ヴァイオリン・パルティータの第2番ニ短調BWV1004の終曲のシャコンヌがありますね.この曲はヴァイオリニストでなくとも演奏することをそそられる曲なのだと,何かの解説に書かれていた気がします.実際,ブゾーニのピアノへの編曲は有名ですし,チェンバロで演奏したものもあります.ですが,忘れてならない名編曲に,故齊藤秀雄先生が,これをフルオーケストラに編曲されたものがあると思います.

この編曲の存在を知ったのは,1984年9月18日に東京文化会館で開催された,齊藤先生の没後10年のメモリアルコンサートでの演奏をFMのライブ放送で聴いたときでした.アンコールにこの編曲が演奏されたと思います.齊藤先生ゆかりの一流演奏者たちが国内外から集まってオーケストラが編成され,秋山和慶と小澤征爾の指揮で開催された演奏会でした.シャコンヌは小澤さんの指揮だったと記憶しています.

これは生を聴きたかった~!,というのがその放送を聴いての印象.放送で解説に呼ばれていた方も,「齊藤先生の教えの下で育った一流の演奏家が集まって演奏すると,こんな音になるのですねぇ.なんともいえない雰囲気で,このような音・演奏を聴いてしまってよかったものか...」などと話していた記憶があります.しかし,その感想が放送を聴いていた身でも決して誇張でない感じがしたので,これは生で聴いたら本当に鳥肌が立ったのではないか,と思った印象が残っていました.

そのような思い出があったのち,それでももうずいぶん前になりますが,CD店で「20th-Century Bach, Boston Symphony Orchestra, Seiji Ozawa(PHCP-196)」というCDを見つけました.これには,バッハの曲のオーケストラ編曲が5曲入っています.たとえば,「プレリュードとフーガ 変ホ長調 BWV 552」のオルガン曲をシェーンベルクが編曲したものや,有名な「トッカータとフーガ ニ短調 BWV565」をストコフスキーが編曲したものが入っています.BWV552は音は新しい感じで曲はバロック,その組み合わせが面白いです.このCDの中に齊藤先生編曲のシャコンヌも収録されていたので,このCDを買ったわけでした.しばらく愛聴版になっていました.このシャコンヌの第16演奏からニ長調になるところが,特に好きなのです.第15変奏でいったん終結して同主調であるニ長調に変わるわけですが,それまで苦悩に満ちた感じから,天国からの救いがきたように晴れ晴れした感じになるように思えて,この瞬間を聴きたい,とついこの曲に手が伸びる,そんな感じの好きさなのです.もちろん原曲でもそうなのですが,齊藤先生の編曲は,ここが非常にうまく書かれている気がしていて,いいなぁ~と思うわけです.

そんなこんなでつい先日,CD店を訪ねたら(実は先日ブログに書きました西脇さんのスカルラッティを買ったとき),目に留まったのが「HIDEO SAITOH MEMORIAL CONCERT 1984」というCD(FOCD9068/9).これはとりもなおさず,あのFM放送を聴いて鳥肌がたったときの演奏の録音でした.実はこのCD自体はもうずいぶん前に出ていたようです.ただ,そのCD店には,このCDを数枚,それこそ新譜のように並べてあったので目に留まったのでした.もちろん,これは買わなくては,と大枚をはたいて買ってしまったわけでした.

シャコンヌのオケ版の指揮は同じ小澤さんですが,ボストンシンフォニーの演奏とはまた違う,これは文章ではかけないよさが漂っているように思います.やはり,齊藤先生ゆかりの方々が集まり,その曲の演奏を通じて先生への想いが重なり,それがひとつの音になってまた収斂する,そんな演奏だったからなのかもしれませんね.このメモリアルコンサートの成功が,後のサイトウキネンオーケストラの発足につながったことは間違いありませんよね.

庭の梅の木
[写真]シャコンヌとは直接関係ありませんが,庭の梅の木.やっとつぼみがほころび始めました...梅の開花は遅かったですが,寒い冬は桜の開花は早いとか.今年の桜はどんな感じに咲くでしょうね.楽しみ.






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Last updated  March 6, 2006 12:42:43 AM
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