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ドイツＷ杯で無念の１次リーグ敗退となった日本代表の中で少々浮いてしまった感のあった
中田英であったが、海外で長い間プレーし、円熟期を迎えた自分が日本代表を引っ張ってやろうと練習や試合中のプレーなどは、ほんの１秒も気を抜かずにプロフェッショナルな対応をしていたが何故か他の代表選手には受けいられなかった。

日本サッカー協会の川淵キャプテンが
「彼の言うことと同じようにやったのでは体が持たない」と洩らしたように
どこまでも上を追い求めるストイックな人間であり、自分に厳しく尚且つ他人にも厳しく
究極の負けず嫌いが彼の信条であり、野球界のイチローと同色に見える。

イチローといえば、記憶に新しいのが
春に開催されたＷＢＣ（ワールド・ベースボール・クラシック）であるが
王ジャパンに選ばれてから日本チームを引っ張り、第１回世界大会で見事優勝に導く原動力に
なったのは言うまでもない。彼といえば、独自の理論を持ち、決して枠に囚われない
スピードと判断力を兼ね備え、メジャーの世界でも金字塔を打ち立ててきた
いわば成功者の一人として数えられる。その彼も、独特の考えからとっつきにくく
周りの人間にも気を使わせてしまうある種異様なオーラを放っていた。
もちろんメディア嫌いで好感の持てる質問がこない限り、あまり口を開くことはなかった。

その彼がＷＢＣの王ジャパンに選ばれてから顔つきが変わり、異様なほど饒舌になった。
世界大会に出場する日本代表に初選出だったため、気持ちが高ぶり嬉しかったのはわかるが
あのストイックな人間がどうしてああも変わってしまったのか。

それは出場するなら世界一を目指したいのがまず一番の考えとして頭の中にあり
そして、その世界一になるには集団スポーツである以上
チームがまとまらなければ試合には勝てないということに気付いたのか
とにかく代表選手一人一人に声を掛け、チームの一体感を重視した。
もちろん練習でも先頭に立ちチームを牽引し、試合でも存在感を十分に示した。

本大会では日本の野球レベルも高いことながらも隣国の韓国に苦戦を強いられたりして
思うようにことは運べなかった。それでも最後の最後まであきらめず可能性を信じた結果
決勝トーナメントに進み、見事世界一の栄冠に輝いた。

中田英もイチローと同じような道を歩み、海を渡り、世界のプレーを肌で感じ
それを日本代表に注入し続けた。世界で渡り合える国にしたい一心で悪者役を演じ
苦言を呈してきた。自由と称するジーコジャパンではなかなか軌道に乗らなかったが
激闘のアジア杯を制して以降、徐々にではあったが進むべき道が見え始めた。しかし、
Ｗ杯切符を世界で一番最初に掴むも、彼は
「このレベルでは世界を勝つだけの実力はない」と一蹴。

たしかに傍から見れば全くその通りであるが
代表選手にとっては、様々な受け止め方があったように思えた。これで奮起する奴もいれば
若干萎え気味の奴も出ていたかもしれない。もちろん彼の言うことは、的を得ているが
スポーツはメンタル面が実力を発揮出来る出来ないを大きく左右する以上
もっと言葉を選んで発言して欲しかった。もしくは、厳しさを残しながらも
もっとフレンドリーに接していれば、Ｗ杯予選リーグでの結果は変わっていたかもしれない。

もちろんこの要素だけではないが、実際チーム内にまとまりが欠けていたのは
素人目から見ても十分伝わってきた。やはりサッカーは１１人が一体感をなしてこそ
新たな実力が発揮されるのであり、ワンマンでは勝てる試合も勝てない。

中田英に関するサッカーの実力は誰もが認めるところではあったが
人の使い方に関しては、まだまだ未熟だったように見えたのは自分だけではあるまい。
Ｗ杯予選リーグ敗退した原因の一つとしてこれから対策を立て
どうすればチーム全員の実力が発揮出来るようになるのか考えてほしい。