つまずく石も縁の端くれ

2011/04/28(木)06:38

シャッフル   白金アートコンプレックス合同展覧会

アート(1017)

広尾駅から白金に向かって外苑西通りを歩いていくと昔ながらの住宅街や商店街がある。川の上を高速が走り、大通りを越え川を渡った細い通りに入ると、静かな住宅街の一画にこのビルがあった。小さなマンションのようなビルで、派手な看板があるわけでなく、最初は気づかずに通り過ぎてしまった。 ここは、画廊や古美術店が入っている5階建てのビルで、人通りのさほど多くない、こんな住宅街の中にあること自体にまず驚いた。まさに現実の中の非日常という印象で、ドキドキしながら、1階のドアを開ける。まず平安時代の根来の漆器が目についた。ところが何か不安定な台の上に載っている。この台自体も現代アートの作家の作品であるということ。 このビルの1階から5階までの店舗の作品を各階ごちゃ混ぜに展示しているからシャッフル。現代アートと古美術の混合。なるほどやっとこの展覧会の趣旨が理解できた。 4階は、平安時代の不動明王像。奥にこの像をイメージして、使用済みダンボールで作った巨大な不動明王像。ダンボールの等間隔に並べ、断面図のようにして、不動明王像を形作っている。本堀雄二という作家。覚えておこう。隣には円山応挙の掛け軸や長谷川等伯の屏風、また地蔵菩薩像が「普通」に置かれており、ゆったりとした中にも過去と現代が入り混じった密度の濃いとてもステキな空間であった。 2階には、現代アートの作家たちのオブジェや人形、彫刻等が所狭しと立っている。タイトルも作家名も表示されているわけではないので、見知った作家の作品もそうでないものもある。どれも強烈なパワーを発しているのだが、中に小ぶりな平安時代の蔵王権現像があった。顔の表情が、まったく現代のギャグマンガでよく見るものと一緒で、思わず受付の女性に「これは本当に平安時代のものか」と尋ねてしまった。ポップな田名網敬一のオブジェにも負けないくらい笑えるこの蔵王権現が愛しい。 白金の住宅街に出現した「異界」を堪能した。歩いて六本木まで戻ろうと思ったらところ、運よく近くのバス停に港区の「ちぃばす」がやって来た。この小さなバスに乗り六本木ヒルズへ向かう。途中、大通りをいきなり左折し、すれ違いができないような狭い急坂を一気に上った時には少々興奮した。このあたりもワンダーランドだ。(4/16)

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