昨夜は 礼服の準備のために一度家内の実家から自宅に帰り、今朝早く再び実家に向かった。午前中に湯灌の儀を行うということだったので、家内がどうしても参加したかったからだ。義姉も昨日は九州から直接実家に来たので、礼服の用意もなかったので昨晩は自宅に帰り、今朝3時間もかけて電車でこの時間に間に合うように来た。
湯灌の際は遺族にも髪を洗うなどの機会を作ってくれ、義兄、義姉、家内3人が慈しむように故人の髪を洗っていた。
一昨日 訃報を知ったときの悲しみを心の奥にしまい込んでしまったように、その後は努めて明るく振舞おうとしている家内だが、やはりこうして故人の髪をなでていると悲しみが現実のものとなってこみ上げてくるのだろう、涙を流していた。
夕方、通夜の式場に着くと祭壇が見事に設営されていた。義父のときは白木の祭壇を中心にしたものだったが、今回は草花が好きだった義母に合わせて洋風の花の祭壇で飾られていた。
そして正面には昨日選んで渡しておいた写真を使用した遺影が掲げられていた。故人の生前の普段の顔そのままの、とてもよい表情だった。
しばらくすると身内の人たちが続々と集まり始めた。そして来る人来る人みんな、祭壇の正面に掲げられた遺影を見て一様に『ああ、優しい表情の素敵な写真だね!』と賛嘆してくれた。
故人の姉に当たるおばさんは足が弱くなり今では車椅子に乗っているが、棺に寄り添ってなにやら故人に話しかけている。故人は入院してからも、見舞いに行ったこのおばさんの体のことを逆に心配して『体に気を付けてね』などと言って病室にいた回りの人を和ませていた。
通夜が終わったのは9時頃で、遠方から来ている近親者は斎場内の座敷に宿泊した。
通夜といえば以前は夜を徹して灯明と線香を絶やさないように寝ずの番をしたものだが、今は消防法の規制なのか、10時を過ぎたらロウソクや線香は使えない。10時間もつという渦巻状の線香のみ点して皆は休んだ。
3月23日 金曜日 晴れ