カテゴリ:ヒロ伊藤流?仏弟子修行
「空とは何か?」 大乗仏教、特にそのはじめに登場した般若経の中心思想である「空」。 この「空」を悟ることが、般若(=ものごとの本質を見抜き見通す智慧)に 気づくことによって可能となります。 この「智慧」とは「何ものにも囚われることなく、あるがままに見る」こと、 「如実に知見する」ということです。 この智慧で「空」を理解すれば、「虚無」と勘違いすることにはならない。 「無常」もマイナス思考だけの「すべては滅びる」ということではなく、 「ものごとはすべて常ならず移り変わる」ということだと、理解できます。 常住不変のものごとは存在せず、条件を変えれば、 いい方向にも変えられるというプラス思考が生まれるのです。 では、その「空」とは何か?ということを、 いつもご紹介している仏典の訳者である故中村元博士は、 たいへん分かりやすく説かれています。 「空とは、鏡のようなものだ。鏡の中には何ものも存在しない。 だからこそ、あらゆるものを映し出すことができる。 鏡には何でも投影される。 入ってゆくことができ、また出て行くことができる。 鏡自体のなかに何かがとどまるということはない。 そのように空っぽだからこそ、充実した存在であることができる。」 神のご神体を鏡に象徴させた日本人だからこそ、 このような比喩が親しく感じられますね。 すなわち空とは虚無というような否定的な意味を含むものではないのです。 空であるからこそ、何事にも囚われずに充実した人生を育む「慈悲」心が生まれ、 その慈悲の実践である利他行を通して、 よりよい人間関係や社会を創ることができるということなのです。 インド人は、世界史上に二つの大きな貢献をしました。 この仏教でいうところの「空」と、数学でいう「0(ゼロ)」の発見です。 どちらも同じ概念だそうです。 「色不異空、空不異色 色即是空、空即是色」 すべての形あるものは空に異ならず、空はすべての形あるものに異ならない。 すべてのものは空である。しかしその空からすべてのものが生まれる。 合掌 観学院称徳 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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