「おのれに恥じず、他にも恥じないのは、
世の中を破り、
おのれに恥じ、他にも恥じるのは世の中を守る。
慚愧の心があればこそ、父母・師・目上の人を
敬う心も起こり、兄弟姉妹の秩序も保たれる。
まことに、自らを省みて、わが身を恥じ、
人の有様を見ておのれに恥じるのは、
尊いことと言わなければならない。」
(『仏教聖典』パーリ 本事経経三九・四十、177頁14行 仏教伝道協会刊)
かつて日本には「恥」の文化があるとされていました。
それは我が国の美徳であり、世の中を穏やかでやさしいものにしていました。
人々は、たとえ貧しくても、親兄弟はもとより、他人にもやさしく振る舞いました。
この「恥」の文化は、我が国固有のものですが、
その根元には仏教や儒教などの東洋の叡智が輝いておりました。
しかるに今、世の中は乱れています。
豊かになったはずなのに、人々は殺し合い傷つけあっています。
「おのれに恥じず、他にも恥じず」、他人を騙すのに罪悪感を感じない。
「おのれに恥じ、他にも恥じる」という美徳の人は、息を潜めているのです。
「自らを省みて、わが身を恥じ、人の有様を見ておのれに恥じるのは、尊いことだ」
他人が厚顔無恥だから自分もそうでよいと思ってはいけません。
もう一度、このお釈迦様の言葉を噛みしめて、日々心がけて行きましょうね。
合掌 観学院称徳