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そうだ坊主になろう!~ヒロ伊藤流仏弟子修行

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2006年05月17日
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うちおのかっぱさんのご質問
なるほどこういう人もいますよね、
ということで皆さんにもご紹介させていただきます。

>ヒロさんのブログの中に、「ウソも方便」についてのお話はありますか?
>火事の家から子供を救い出すために親がウソをつくというお話がありますよね。
>「ウソも方便」を理解して欲しい人がいて、お話をしてみたんですが、かっぱの話し方が悪かったのか、「ウソをついたことが事実。それは許されない。」と言って、頑なに「事実である」ということにこだわるんです。子供を救いたいがためのウソも自分なら許さないと。事実を伝えないことは、いけないことだと。
>昨日のかっぱのブログに長々と書いてあるんですが、ヒロさんなら、こういう人になんて言いますか?なんていえば伝わるんでしょうか。伝えよう、解らせよう、というのが、間違いなんでしょうか・・・。

>他人を自分の思い通りに変えることなんてできっこないのは解っています。でも、このまま彼を放っておくわけにはいかない。切り捨てるのも違うと思う。それは後味悪すぎるから。かっぱに何ができるでしょうか。。。
>もしお暇があれば、なにやらかっぱに助言を頂けたら嬉しいです。
-----

「嘘も方便」という諺があります。
嘘も使い方によっては、よい手段となり得るという意味です。
ということは、嘘=方便 でないことは明らかです。
嘘とは、正しくないこと、真実でないこと、偽りであって、
お釈迦様も、嘘をついてはいけないと言われています。

では、どういう嘘なら方便と言えるのでしょうか?

そこには、ある条件が必要なのです。
ある人に対して嘘をつくことで、その人に救いがある、利益をもたらすという
明確な目的があるとき、悪意がなく慈悲の心で、その人に対してつく嘘は、
嘘ではなく、方便と呼べるのです。

悪意でつく嘘、目的もなくつく嘘は、単なる嘘であって、方便にはなり得ません。

法華経第三譬喩品の中に、かっぱさんの記された火宅の話があります。
仏教聖典の中にその要約がありますので、引用しておきましょう。


さとりの岸に立って、迷いの海に沈んでいる人びとに呼びかける仏のことばは、人びとの耳には容易に聞こえない。だから仏は、自ら迷いの海に分け入って、救いの手段を講じた。
さて、そこで一つの比喩を説こう。ある町に長者があって、その家が火事になった。たまたま外にあった長者は帰宅して驚き、子供たちを呼んだが、彼らは遊びにふけって火に気づかず、家の中にとどまっていた。

父は子供たちに向かって~
「子供たちよ、逃げなさい、出なさい」と叫んだが、子供たちは父の呼び声に気がつかなかった。

子供たちの安否を気遣う父はこう叫んだ~
「子供たちよ、ここに珍しいおもちゃがある。早く出て来て取るがよい」
子供たちはおもちゃと聞いて勇み立ち、火の家から飛び出して災いから免れることができた。

この世はまことに火の家である。ところが人びとは、家の燃えていることを知らず、焼け死ぬかも知れない恐れの中にある。だから、仏は大悲の心から限りなくさまざまに手段をめぐらして人びとを救う。

(『仏教聖典』18頁12行 仏教伝道協会刊)


原典では、子供は3人いて、父親は3人それぞれに、おもちゃや珍しいものがあると、叫んで興味を引き、子供を外に逃がすのに成功しています。
子供は衆生、長者の父親は仏を象徴したものであることは明らかです。

最後の「この世はまことに火の家である。・・・・・」という状況のもとで、
「仏は大悲の心から限りなくさまざまに手段をめぐらして人びとを救う」という
これがまさに方便というものなのです。

こういう場面は、誰にでもあり得ることです。
高齢化社会へ向けて今後あなたも直面するかもしれない、
癌など重病の告知の問題です。
それが直るものであるのなら、本人にも真実を知らせた方がよいでしょう。
しかし、見込みのない死が確実なものだったら、どうするのでしょうか?
本人の問題だから、どんなことでも真実を告知すべきなのでしょうか?

拙僧のような坊主などは、生死を超越しているはずなので、
断然告知してもかまいません。それで本人がオタオタするようなら、
修行が足りんかったね、と、笑ってやればいい。

日頃から強い意志で自分に責任を持って生きて来た人には、
残された時間を知らせて差し上げるのが親切でしょう。

しかし日頃から気弱な人や、強がっていても人に頼って生きて来たような人(頑固じいさんにも意外とこの手の人が多い)は、注意が必要です。また重病の時には、鬱病のような症状が出る場合がありますので、ご注意ください。このような場合には、病気は治るものだと嘘をついて、安心した余命を送らせた方が、愛情ある接し方かもしれませんね。

相手を思い遣って、その人のレベルや状態を見ながら、時と場合により、嘘をついたとしたら、それは方便となりましょう。

また、ご質問の彼の場合は、馬の耳に念仏、聞く耳を持たない者に教えを説くのは難しいと
お釈迦様も言い残していますので、長~い目で、慈悲の心で、
頭の硬い彼を見守ってあげることだと思います。


頭の硬い彼にもさとりの光が現れますように!

合掌 観学院称徳






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最終更新日  2006年05月17日 18時28分29秒
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