「愚者は、荒々しいことばを語りながら、
“自分が勝っているのだ”と考える。
しかし謗りを忍ぶ人にこそ、
常に勝利があるのだ、と言えよう。」
(『感興のことば ウダーナヴァルガ』第20章13 中村元訳 岩波文庫)
人は弱い者です。荒々しい言葉で相手を打ち負かそうとしますが、
その弱さはすぐに露呈してしまいます。
感情の高ぶった相手に感情で返すのは、問題を深刻にするだけです。
しかし荒々しい言葉を発して勝ったつもりでいる人に
何もせずにただ相手の言うままに忍んでおれということでもありません。
相手の言動を冷静によく観察せよ、と言うことなのです。
だからこそ、謗りを忍ぶ人にこそ、常に勝利があるのだ、と言えるのです。
難しいことですが、ちょっと訓練すれば誰にでもできることだと思います。
では、どうすればそんなことができるのか?
それは感情を持った自我から離れた、
第三者的客観的な視点を持つことで可能となります。
相手は勿論、自分さえも俯瞰する視点を持つことです。
人は誰でもこの能力を持っているのです。
他の生きものと人との違いがここにあります。
合掌 観学院称徳