淀風庵さんからのご意見
>内容を調べずに小売していた大手企業の責任が、現時点ではあまり問われていないですが、おかしいです。内容チェックするのが常識で、この欠落が長年の不正を許していたのではないでしょうか。
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拙僧も昨日の記事で 「安心安全を大命題としながら、このようなインチキ商品にコープブランドを付けて販売した責任は追及されて然るべきでしょう。単に商品開発部門の責任に留まらず、事業規模の拡大を最優先させている経営陣にも大きな責任が問われるべきだ」と記しています。この言葉は一般の大手小売業や食品メーカー、ホテルやレストランのチェーンにも言えることだと思います。拙僧が生協の責任を特に問題としたのは、生協は商品や仕入れ先の生産体制に対しても厳重にチェックしていく機能を持っているはずだと思っていたからです。パルシステム(元首都圏コープ)生活協同組合連合会の商品評価委員をしている中で、食品の安心安全を担保するためにいかに手間ひまがかかるか、ということはコストもかかるか分かっているからです。ところが今回の事件ではその生協の大本山ともいうべき日生協のコープブランドで問題があったことが明らかになりました。拙僧の関わるパルブランドでなかったのは幸い?ですが、他山の石としなければならないでしょう。もちろん生協といえども価格競争を免れず、1円でも安い商品を提供するという使命を持っています。それは生協の理念からするとサブ的な命題だと思いますが、これを解決するために、安心安全をおろそかにするという本末転倒の大失態を犯したというのが今回の事件に拙僧が反応している理由です。
では、淀風庵さんからのご意見、「内容を調べずに小売していた大手企業の責任が、現時点ではあまり問われていないですが、おかしいです。内容チェックするのが常識で、この欠落が長年の不正を許していたのではないでしょうか」は、どうでしょうか?
拙僧は、大変残念なことながら、一般の小売業や食品メーカー、ホテルやレストランのチェーンなどに、食品の安心安全を担保するだけの機能や体制、コスト構造が構築されているとは思いません。これらの企業がどんなに「安心安全」を広告や販促上のキーワードとして利用しようが、です。これらの企業に生協のようなレベルでのチェック機能はありません。体制やコストから言ってもまるで織り込まれておらず、仕入れ担当のバイヤーとメーカーや食材納入業者間の信頼関係というきわめて曖昧な思い込みだけで、安心安全を担保しようとしているのです。小売りからすれば問題が起きればその商品を売り場から回収返品してメーカーの責任だと発表するだけでしょう。同業間の熾烈な価格競争によって、時には必要最低限な原価を割り込んだ取引が恒常化しているのですから、それでも利益を確保しようとすれば、単純な算数の問題で今回のような事件は氷山の一角にすぎないと知るべきです。あまりに安い商品には危ないワケがあるのですよ。
結論。メーカー、生協、小売、飲食、すべての事業体で常態化した、食の安心安全を担保する限界すら超えた価格破壊、コスト削減競争という状況が、今回の事件を成立させたということです。そこでは倫理観はもちろん法律という最低限のルールさえ無視されました。そして、これには1円でも安い商品に群がる消費者たちも荷担しているのだと知るべきです。消費者は被害者であると同時に加害者でもあるのですよ。消費者は自分や家族の健康を害してまで安物買いをしなければならないほど貧乏なのでしょうか? すべての人々が自省すべきでしょう。