せんば自由軒のカレー
ファミリーマートで最近「せんば自由軒のカレー」なる弁当を売っている。「和ンダフルファミマ」と銘打ったキャンペーンもので、明治43年以来の味と謳っている。試しに買ってみたが、あまり辛くはなく、出汁っぽい後味でなかなか美味かった。で、検索してみたのだが、面白い事になっている。つまり本家自由軒から昭和45年にのれんわけした、せんば自由軒が勝手に明治43年以来の味といってレトルトカレーとか出してますが、うちとは関係ないよと言っているわけだ。直接「せんば自由軒が劣る」とは言っていないものの、ページの上部に「本物の味はここにしかない」と大書し、せんば自由軒が出しているレトルトカレーについての文章で「自由軒の名物カレーの調理方法は門外不出とされ、これまで親子代々に渡って引き継がれてきました。保存料や着色料を一切使わず、一流の料理人の手によって作られる、まさに本物の味です。」と書くなど、間接的にあっちの味は家より下と言っていると思える。年表も1976年 当店二代目店主・吉田四郎から、出店を許可された本町自由軒がオープンと、せんば自由軒の開店を記述した後に1985年 名物カレーが全国的人気に!1989年頃 (せんば自由軒が)自由軒の名前をつけたレトルトカレーの販売を始める。このため、「自由軒」と「せんば自由軒」の混同が生じるようになる。と、「こっちの方が全国的人気を得たもんで、せんばのやつが便乗してレトルトだしやがった」と強調する意図が見え隠れする。この年表では、せんば自由権が「二代目の許可を得て開店」とだけあって、どこの馬の骨が開店したのか明確ではないのだが、せんば自由軒の方では初代店長の五男であると書かれている。せんば自由軒の方の創業の歴史によると、戦後、店の再開が思うように行かなかった中、創業者の五男、憲治が粉骨砕身、戦前の総料理長早野賢造氏を呼び戻し、本来の味を取り戻し、店を建て直し、しかるのちに、せんば自由軒を開店し、早野賢造氏をこちらの総料理長に迎えたことになっている。つまりせんば自由軒の創業者は危機的状況の本店を立て直した功労者であり、彼のせんば自由軒はそれこそ明治以来の本来の味を守っているというわけである。本店の方で書いていた「調理方法は門外不出とされ、これまで親子代々に渡って引き継がれてきました」という文章。もちろんせんば自由軒は本当の味を出せないのだという意味が暗に込められているのだが、このために、年表にせんばの方の創業者を書くわけにいかなかったわけだな。もちろん、レトルトやらコンビニ弁当をやらない自由軒の姿勢というのは、それはそれでうなずけるものだ。どうやったってレトルトでは店と同じ味にならないだろうし、コンビニ弁当も工場で作って暖めなおす以上、水蒸気でべちゃべちゃになったりする。コンビニ弁当版では本来生卵をかける自由軒のカレーに半熟卵をかけることになるので、これも味や食感に違いを生むだろう。というわけで、少数の店舗のみで、勝負する本家自由軒の職人気質も尊敬に値すると思う。とはいえ、面白いなあ。ランキングにご協力ください→