映画「ブラッド・ダイヤモンド」の問題、その2
前回の紛争ダイヤの問題を描いている映画「ブラッド・ダイヤモンド」についての続き。レオナルド・ディカプリオは、内戦状態の国から産出された、ダイヤモンド原石を闇取引する役柄。それらの資源は反政府テロ組織の武器購入の資金となる。血塗られたダイヤということで、ブラッド・ダイヤモンドと呼ばれ、紛争ダイヤ問題として国際的にも取り上げられている。日本で注視されていないのは、遠いかなたの国の問題と写っていることと、原石ではない、研磨されたルース(裸石)の輸入がほとんどだからだ。2003年から原石の輸出入には厳しい規則が生まれた、キンバリー・プロセスと言う。日本では原石の輸入がほとんどないのだから、紛争ダイヤは関係がないと考えるのは安易すぎる。他国で原石の段階に紛れ、研磨カットされれば、全く問題のないダイヤモンドとなって日本に入ってくるのだ。映画を観て、「ひとり不買運動」を心に誓ってしまう人が生まれてもしかたがない状況だが、日本のジュエラーたちにも、なんとも、どうにも仕方のない現状も知っていて欲しい。そんなこと言っても、研磨しててもその紛争ダイヤなら買い入れなければいいじゃないか。多くの方はこう思うはずですよね。残念ながら、ダイヤモンドの特性にそう簡単に解決できない、問題を難しくさせるものがあるのだ。それは、自分たちの仕入れるそのダイヤモンドが、紛争地域かそうでないかを判別することが出来ないからだ。ほかの宝石類では、産地を特定することが出来る。例えば、このエメラルドはコロンビア産だという証明が出来るのだが、ダイヤモンドには産地の特徴を見つけることは出来ない。「産地証明」ができれば何の問題もなくなるのだが、今のところそれは出来ない。ダイヤモンドという、地球が創りあげた「完璧」さゆえのジレンマだ。日本に入る以前に原石の段階で紛れてしまうことをなくすことだけが、今の日本で防ぐ唯一の手立てなのだ。ということは、日本より以前のブローカーやダイヤのシンジケートたちの、毅然とした姿勢だけが、問題を解決する糸口と言える。つまり、日本の宝石関係者に「紛争ダイヤではない証明を提示しましょう。」などと言って非をかわしている、シンジケートたちこそ身を正して欲しいのだ。しかし、そういう類の発言はほとんどマスコミには載ることはない。なぜなら、その巨大なシンジケートは日本のほとんどのマスコミに、絶大なスポンサーとして君臨しているからだ。そのおかげで、「婚約指輪は、お給料の3か月分」というフレーズや、「結婚10周年に、スイートテン・ダイヤモンド」が定着しているわけですから…。いかがでしょうか、映画を観ていなくても、こういう問題について、皆さんはどういう思いを持ったのでしょうか。ご意見を伺いたいものです。